リクエスト小説

□ぶつかる言葉、つながる心
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(きっと怒られる・・それにギロロに嫌われちゃうよ・・・)

「・・それで・・真犯人もわかったところで二人にお願いなんだけど・・・」

「何だ?冬樹」

「ねこちゃんを叱らないでやってくれる?・・きっと悪気があってのことじゃないと思うんだ・・・


「うん・・わかったわ」

「・・もう一つわからないことがあるんだが・・・ねこはどうやってケロロにケーキを食べさせたん
だ?」

「あぁ・・それは簡単だよ・・ねこちゃんはケーキを軍曹の部屋の前に置いたんだ・・・万が一食べ
なかったとしても元に戻すことはないからね」

「・・なるほど」

ひょいっ

その時、冬樹の腕からねこが飛び出しギロロのところへ。

(ごめんなさい・・・ごめんなさい)

ペコペコと頭を下げてギロロのほっぺをなめる。

(・・ケーキがなくなれば・・夏美とケンカして・・・私ばかり見てくれるって・・・・ごめんなさ
い)

「お、おい・・く、くすぐったいぞ・・・もう気にしてないから・・よしよし」

ねこの頭をなでてやるギロロ。

にゃあ・・

(・・よかった・・・)

かしっ

にゃっ?

「ほらねこちゃん、二人とも怒ってないって・・・僕の部屋に行ってのり食べよっか?」

冬樹がねこを連れてリビングから退場する。ソファに並んで座る二人が残された。

「・・・・・」

「・・・・・」

すすすっ

とりあえずぴったりと寄り添う二人。まだお互い黙って下を向いたままだ。

(・・・ちゃんと・・謝らないと・・疑ってごめんねって・・・)

(・・ねこのときみたいに・・気にしてないと・・言わないと)

「あのっ・・・」

「ねぇ・・・」

同じタイミングで顔を上げ話を切り出そうとする二人。見合わせた顔に笑みが浮かぶ。

「ははっ・・」

「ふふっ・・」

しばらく二人は笑い続けた。落ち着いてきたところでどちらからともなく話し始める。

「・・今日は・・ごめんね・・・犯人をギロロだって決め付けて・・・ばかとか・・ひどいこと言っ
て」

「い、いや・・俺の方も・・かっとしてわからず屋などと・・・すまない」

「ううん・・あたしなんてギロロに出てけって・・・」

「う、売り言葉に買い言葉であの時は仕方なかったさ・・・俺の言い方もいけなかったしな・・」

「でも・・・!?」

夏美のくちびるに指をつけるギロロ。

「・・それ以上は・・・もう止めよう・・俺ももう気にしてないし・・夏美もそうだろ?」

こくこく

夏美は黙ったまま頷く。

「なら・・・仲直りだ」

指をくちびるから離したギロロは仲直りの印として手を差し出す。

ちゅっ

「!?」

その手を取らずにギロロを抱き寄せてキスをする夏美。

「・・仲直りの印・・・だよ」

「な、夏美・・・ずるいぞ」

「ごめん・・」

「・・いや謝らなくていい・・・印は受け取ったんだからな・・」

そういうとギロロはソファからおりて外へ戻ろうとした。

「どこ行くの?ギロロ?」

「ん?・・・ああテントをな・・」

「・・・明日にしようよ・・もう暗くなるし・・あたしも手伝うから・・・」

「でも・・寝るとこがなくなるから・・・」

「今日は一緒にいよ?」

「・・・・わ、わかった」

「決まりね・・・」

その日二人は夜遅くまで部屋でおしゃべりをし、次の日はお揃いで寝坊をしてしまったとさ。
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