リクエスト小説
□ぶつかる言葉、つながる心
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とりあえず二人は冬樹に言われるままにリビングへ移動する。
「・・どうしたっていうの?」
「何があるんだ?」
「・・・二人に仲直りをしてもらおうと思ってね・・」
冬樹の言葉に二人は顔を見合わせ、気付いたようにそっぽを向き合った。
「実は真犯人を見つけたんだ」
「な、何ですって?」
「本当か?」
「ほんとだよ・・」
それから冬樹は推理した事件のあらましを説明した。その冬樹の傍らにはねこがミルクをなめていた。
「・・まず買い物を終え帰った姉ちゃんはギロロのテントへ・・そこでケーキを買ったことを報告する・・家に戻るとケーキの入った箱をテーブルに置き、姉ちゃんは台所へ・・しばらくしてリビングに戻ると伍長がいて二人は部屋へ・・そしてケーキがないことに気付く」
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「・・大体、あってるわよ・・」
「冬樹の言う通りだ・・」
「それじゃあ・・本題に入るね・・・誰が真犯人なのか・・」
二人はそれぞれ心の中で決めていた。真犯人が誰であれそいつのせいにして仲直りしようと。
「この事件の真犯人は・・」
冬樹はしゃがみ込んでねこを抱き抱える。
「このねこちゃんだったんだ」
『!』
「・・な、何だって?」
「ね、ねこちゃんが・・犯人?」
二人はもちろん犯人と名指しされたねこも驚いていた。
「い、いくらなんでも・・・有り得んだろ・・な、なぁ?」
「う、うん・・そうだよね」
二人は不思議そうな顔を見合わせる。
「伍長・・一つ思い出して・・・ケーキを買ったことを知ったとき・・ねこちゃんはいた?」
「・・・テ、テントにいたはずだ・・」
「つまりケーキのあるのを知ることが出来た・・」
「確かにそうなるわよ・・でもいくらなんでもねこちゃんに二つのケーキを食べるのは無理よ」
「・・確かに・・普通に考えれば無理・・・ただねこちゃん自身が二つ食べる必要はないんだよ」
「?・・・どういうことだ?」
「一つはねこちゃんが食べた・・それはこの手に付いたクリームから明らかだけど・・・もう一つは別の人に食べてもらったのさ」
「共犯者ね・・・」
「共犯・・はいい過ぎかもしれない・・・食べた人は何も知らずに食べたはずだからね」
「・・一体誰なんだ?」
二人とも今や身を乗り出して聞いている。
「・・それは軍曹だよ」
「ボケガエル〜・・・ねこちゃんをそそのかして」
「それは違うよ、姉ちゃん・・・軍曹はケーキを知らなかったはずだし・・それにもし軍曹が犯人ならねこちゃんにケーキを分けたりはしないと思うよ」
「・・そっかぁ・・でもどうしてかな?」
「う〜ん・・・残念だけどそれはわからないんだ・・ただねこちゃんが犯人なのは間違いないよ」
ねこの頭をなでる冬樹。その時ねこはびくびくしていた。