リクエスト小説
□ぶつかる言葉、つながる心
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「・・な、何しに来たんだ?・・・」
「み、見ればわかるでしょ・・洗濯ものを干しに来たのよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
何となくよくない空気が流れる。二人は黙ってお互いの作業を続ける。
(・・な、何か話した方がいいかな・・・)
(ここにいずらい・・何か話をした方が・・)
二人は糸口を探していた、仲直りをするための。このままではいけない、というのはわかっているがどうすればいいかがわからなかった。二人とももう気にしてないと言えばいいのに・・。
「・・・銃を磨く以外にすることないの?」
それは夏美が今考え得る一番刺のない言葉だった。だがギロロの心には刺さってしまった。
「・・ない・・・ほんとならこんなことしてはいないからな」
「っ!・・な、何よその言い方・・あたしのせい?」
「そ、そうは言ってない・・・だけど」
「だけど何よ・・ギロロがいけないのよ」
「なっ!?・・だからそれは俺じゃない」
「じゃあ誰だっていうのよ・・・他に誰も知らなかったんだから・・」
(・・ダメ・・・これ以上は・・言ったら後悔するよ・・)
「もういいわ・・ギロロみたいなうそつきは家から出てってよ!」
「っ!・・・そこまでいうなら・・仕方ない」
(・・・それ以上言うな・・夏美だって本気じゃない・・・きっと)
「出ていってやるさ!」
・・・・・・・・・・
ギロロは言い出してしまった以上止めるわけにも行かずテントをくずし移動の準備をする。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
夏美は洗濯ものを干しながら横目でそれを見るしか出来なかった。
(・・ほんとに・・・ほんとに行っちゃうよ・・・あたしのばか・・もうあんなこといいじゃない・・)
(・・・結局言ってしまったか・・・こんなつもりはなかったのに・・)
二人とも取り返しのつかないことをしてしまったことには気付いていた。
(・・・時間が戻ってくれればいいのに・・そうしたら気にしてないって言えるのに・・・)
(・・もっと落ち着いて自分の潔白を訴えていたら・・・こうはならなかったかもしれん・・)
ゆっくり、だが確実に準備は終わっていく。夏美もギロロも思っていた。
(・・誰か・・誰か止めてくれ・・・)
(・・・誰でもいいから・・・止めて・・あたしには・・言えないよ)
ガラッ
「ちょっと待った!」
「ふ、冬樹?」
ちょうどいいタイミングで冬樹が現れる。二人は何をするのかに釘づけになる。