リクエスト小説

□あたしとあなたとねこ
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ばさっ

「・・戻ったぞ」

んにゃぁ・・・

ギロロが帰るとねこはできる限りの鳴き声をあげる。

けほけほ

「無理するな・・・治ったら好きなだけ鳴けばいい」

氷を頭にのせる。そのとき、ねこの首すじに手をあてる。

ひにゃぁ・・・

とくっ・・とくっ・・

体温と一緒に鼓動が伝わってくる。

「ん〜・・・まだ熱があるな・・さっきよりはだいぶいいようだが・・・このままもう少し寝ていろよ」

ペロペロ

ギロロが伸ばしたその手をねこがなめる。

「・・くすぐったいぞ」

「ギロロ〜?」

ちょうどそのときテントの外から夏美の声がした。

ばさっ

「ど、どうした?」

「一人じゃ看病するの・・大変かなと思って・・・なにか手伝うことある?」

「・・あ、ありがたい申し出だが・・・手は足りてるからな・・」

「そう・・・」

「そ、そうだ・・せっかく来たんだ、見舞いでもしてくれるか?」

「・・う、うんっ」

夏美はテントを覗き込む。ギロロはねこの側に座る。

「だいぶよくなってきてはいるんだ・・・熱もさっきと比べたらどんどん下がってるしな」

「・・がんばってよくなってね、ねこちゃん」

ねこをなでようと手を伸ばす夏美。すると、夏美がいることに気付いたねこ。

ふぅーっ!

夏美に向かって威嚇をする。

「きゃっ」

「お、おいおい・・夏美もお前が治るようにだなぁ」

ギロロが触ろうとするとねこは威嚇をやめ、ギロロの手に顔を擦り付けてなめる。

「・・あたしは嫌われてるみたいね・・・」

「す、すまないな・・・」

「ううん・・ギロロが謝ることじゃないよ・・・早く治るといいね」

「ああ・・・そうだな」

夏美は少し残念そうな顔を浮かべて部屋に戻っていった。

・・・・・・・・・・

時間が経ち、日が傾いてくるとギロロは看病の疲れからうとうとしてしまう。

こっくり・・こっくり・・・

「はっ!?・・・いかんいかん・・少し寝てしまったな・・」

ふとねこの様子を見るギロロ。

に・・にゃあ・・・

「・・し、しまった!」

ねこの頭にのせていた袋の中の氷は全部溶けてしまっていた。そして頭が冷やせなかったねこはさっきよりも熱が上がってしまっていた。
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