ギロ夏小説(ノーマル)

□大きな水溜り
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「おぉ〜!・・・あ、あれが海」

初めての海の感動にギロロはバスの窓にくっついて眺めていた。

「なに?あんた海来たことなかったっけ?」

夏美はギロロの頬に触れるか触れないかに自分の頬をよせておんなじように海を眺める。

「んなっ!なな、夏美!」

「んっ?どうかした?」

ギロロの方に顔を向ける夏美。

「い、いや・・な、なんでもない」

海を見たら夏美も少し元気を取り戻したようだ。

(よ、よかった・・・少しは元気になったようだな)

ブロロロロ〜

「え〜っ!」

「だって今は姉ちゃん大人だし」

「よろしくであります〜!」

「あたしも遊びたいのに〜」

砂浜に着いた一同、ここで問題となっているのは荷物番について。とはいうもののほぼ満場一致で夏美が、という構図となっている。

「夏美殿が荷物番でいいと思う人〜!」

「「は〜い!」」

「それじゃ、よろしくであります!」

「お願いね、姉ちゃん」

「お願いします」

「ね、ねぇ・・・ギロロは荷物番、一緒にやってくれるよね?」

みんなが海へ走り出す中で残っていたギロロに尋ねる。

「あ、ああ・・」

ざざ〜ん、ざざ〜ん

砂浜にパラソルをたて、シートを敷きそこに寝そべる夏美。ギロロは隣に座っていた。

「あぁ〜、つまんない・・・せっかく海に来たのに」

「・・・・行ってこい」

「へっ?」

「ここは俺が見ててやるから・・・みんなと遊んで来たらいい」

「でも・・」

「俺なら大丈夫だ、心配するな」

「あ、ありがとう、ギロロ」

たたたっ

「みんな〜、あたしも入れて〜」

ビーチバレーをやっていたみんなのもとに走ってむかう夏美を見送った。

(これでよかったんだよな)

・・・・・・・・・

(海か、大きな水溜まりじゃないのか?)

シートに座り、海をじーっと眺めるギロロ。

(ただ、何か迫力がある気がするな・・んっ?)

目の前を小さなかにが通り過ぎる。

(なんだこいつは)

そっと手をのばすと・・。

ちょきん

「痛い!何をする、は、はなせ!」

ぶんぶんと手を振り回すとかにはどこかへいってしまった。

ふ〜、ふ〜

(全く油断した、血が)

ぴとっ

「うひゃあ!な、なんだ!?」

ジャキッ

後ろからいきなり冷たいものを顔にあてられ驚いたギロロはその相手に銃を向ける。

「ち、ちょっと待って・・」

「な、夏美か・・驚いた」

「ごめんね」

「もういいのか?」

「うん、それで・・これお礼のラムネ」

「らむね?・・これはどうやって飲むのだ?」

「よく見てて、こうするの・・・」

ぽんっ、シュワ〜

「こうか」

ぽんっ、シュワシュワ〜

「うわっ、泡が!」

「た、大変!」

結局どうしようもなく、ラムネでびしゃびしゃになってしまった。
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