ギロ夏小説(擬人化)

□ある雨の午後
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(これからどうしたらいいのだろうか?)

テントが狭いので縁側に腰掛けて考えていた。

(この体ならポコペン侵略もやりやすいかもしれん。
考えてみると悪くはないのかも知れんな。)

彼は一つ大事なことを忘れていた。
ギロロが大きくなった利点を夢中になって考えていると、

(だ、誰!?もしかしてドロボー!?)

縁側に見知らぬ人を見つけ、飛び掛るタイミングを見計らっているこの少女、日向夏美、ギロロの想い人である。

(なんてバカなドロボーなんだろう、縁側にボーっとすわってるなんて、でもチャンスだわ!)

「ひとんちの庭で何やってんのよ!ドロボー!」

というが早いかギロロに蹴りかかった。
いつものギロロならば、蹴り飛ばされてしまうだろうが、機動性が格段に良くなった今、さすが軍人。奇襲にもかかわらず、さっと身を翻し足をとって投げてしまった。

「なっ、夏美!?すまん、大丈夫か?」

「いったーい、なにすんのよ!」

思わず投げてしまったことを詫びるため、大丈夫なのかをみるために近寄ったギロロにまた蹴りかかるが、なんなくかわされてしまう。

(こいつやるわね、ヤバイかも)

自分がポコペン人の姿に変わってることにやっと気がついたギロロは、またしても繰り出された蹴りをかわしながら

「夏美!俺だ!ギロロだ!」

「何いってんのよ!あんたは!あんたがギロロなわけがないわ!だってギロロは・・・」

「ギロロは俺だ!この目の傷を見ろ!ケロロに変な薬を打たれてだな!!」

「そういわれてみると、そうかもしれないわね」

(変に真剣なところもおかしいし)

「とりあえず信じるけど、ここで待ってなさい!あのボケガエルに確認とってくるから!」

というと、家の中に入っていった。そしてかすかに聞こえるケロロの悲鳴、かすかに震える大地、地下で起こっているであろう惨劇を想像するだけで恐ろしい。

しばらくして、夏美が帰ってきた。

「さっきはごめんね、ギロロ。いきなりだったからドロボーかと勘違いしちゃって」

「いや、いいんだ。知らないやつがいればそう思うのも無理はない。だがいくら夏美が強いとはいえ本物のドロボーだったら危なかったぞ!そういうときは、自分だけで行こうとするな!」

「う、うん」

「そういうときは・・・・・俺を呼べ。いつでも飛んで行く!」

「ギロロ・・・」

(ちょっと待って、ギロロってこんなにかっこよかったっけ!?)

さらりと流れるような赤髪、がっしりとした体、きれいな顔立ち。

とくんっ・・・・とくんっ

(なんでだろう、あたしったら急にドキドキし始めて。顔も熱い、顔が赤くなってるのかな)

「夏美、どうした?急に黙って?具合でも悪いのか?」

急に近寄ってきたギロロにびっくりしたのか、夏美は飛び上がって後ずさった。

「な、なななっ、なによ!な、なんでもないわよ!」

慌てた夏美はそのまま逃げるように部屋に帰っていった。

(夏美、どうしたんだ!何か悪いことでも言ったのか?そうなのか?それともこのポコペン人の顔がいけないのか?)

一方、部屋に帰った夏美は、顔から火が出るほどに顔を赤くして布団をかぶっていた。

(どうしたんだろ、あたし。こんなこと初めて。きっと驚いてるだけよ、急にあんなに変わってから。変なことじゃないわ、普通のことなのよ。)

変な言い訳で自分を納得させようとするが、それに反して胸が高鳴り、顔は湯気が出るほどに赤くなっていた。

((これからどうなるんだろう?))

二人は思った。

同じように流れるはずだった時間は、その流れる方向をかえ、二人の関係を変えてゆくのだった
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