□あなたのすきなもの
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只今営業中。


自ら開いた念願の骨董品店で、今日もフィリアは各地から選りすぐりに収集した自慢の品をせっせと磨いていた。

煤けた年代物の壺も、本来あるべき姿に近い状態を取り戻してゆく。

「ふぅー…」

一通り磨きをいれた壺を音をたてずに置くと、額を伝う汗を拭う。

先日、人跡未踏の遺跡から調達した物の数々は、マニア受けするだろうと自信があった。

外もいい具合に青空が広がっていて、絶好の販売日和だ。

なのに。

……なのにっ!

「なんであなたがここにいるんですかー!?」

半ば絶叫に近い声で彼女が指差した先にいるのは――

「いやぁ、お暇を頂きましたもので」

はっはっはと、相変わらずの笑みを浮かべた生ゴミ。

もとい、ゼロス。

唐突にわいて出たかと思うと、店内を歩いて回ったり、手入れをしているフィリアを見物客のように覗き込んだりと、目障りなことこの上なかった。

少しは大人になって無視を決め込もうと、今しがたまで壺磨きに意識を集中していたのだが…。

元々沸点の低い彼女には、限界が訪れるのも早かった。

「営業妨害です!」
「妨害、ですかぁ?」
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