□ある晴れた日のお話。
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とある天気のいい昼下がり。

町外れの小高い丘にある木の幹で、暖かな陽気に包まれて、気持ち良さそうに寝息をたてる少女がひとり。

数々の二つ名を世に轟かせている、あのリナである。

無防備極まりないが、そこはそれということで。

だがやがて、そんな平和な光景に不穏な影が。

その正体は言わずと知れた後ろ姿がゴキブリ似、通称ストーカー、獣神官ゼロス君であった。

彼は、うざったいくらいの笑みを浮かべたまま、ゆるりと彼女に歩み寄り、しゃがみ込むと。
しばしその寝顔を観察していたが、やおら立ち上がり、何をするのかと思いきや、数歩先に落ちている木の枝を拾い上げた。

再びリナの元へ向き直ると案の定、その枝で彼女の顔をツンツンとつつき始めたではないか!
言うまでもなく、いつもの笑顔で。

外部からの突然の刺激を不快に思ったか、リナが気怠そうに眼を開くと、そこには――

手にした枝で乙女の柔肌をつついて微笑んでいるゼロスの姿があった。

しかもばっちし目が合ったし。

ぴきっ。

リナのこめかみに青スジが浮かぶ。
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