□傍に
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「あー…疲れたぁ…」
宿で振り当てられた自分の部屋に入ると、リナはそのままベッドに倒れ込んだ。たまのガウリィとの剣の特訓は、結構つらいものがある。
「気持ちいー…」
瞳を閉じ、身体の力を抜く。安い宿の硬いベッドでも、リナはまどろみ始めていた。
「僕がもっと気持ちよくさせてあげましょうか?」
たった今まで誰もいなかったはずなのに、部屋に響いた突然の声。
だがリナはそれには全く動じずに、眠りの世界へと――。
「あのー…リナさん?」
「……」
「リナさーん」
突然の声の主、ゼロスは、リナに幾度も呼び掛ける。が、リナは彼の呼び掛けには応えずに、瞳を閉じたままだった。ゼロスはにやりと笑ってベッドに寝そべるリナの上に跨がって、耳元に顔を近付けた。
「リナさん。…起きないと、襲っちゃいますよ?」
「……ん…」
小さく身動ぎをしたリナに、ゼロスは少し期待するが、彼女はすぐにまた寝息をたて始めた。
「…リナさ〜ん」
ちょっぴり情けない声を出してみる。だが彼女は全く反応を示さなかった。
どうやら本格的に眠ってしまったらしい。
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