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□ある晴れた日のお話。
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「いやぁ、お目覚めですか?リナさん」
ぴくぴく。
「『お目覚めですか?』ぢゃない!一体何のつもり!?」
安眠を妨げられたせいもあって、かなり不機嫌な香りがぷんぷんしている。
「愛する者に枝でつつかれ目覚める…。最高のシチュエーションだと思うのですが」
無駄に爽やかに、そして悪びれる様子のない口調で言うゼロスに。
……ぷち。
何かがキレた。
「どこが最高じゃっ!乙女の眠りを邪魔した罪は重いわっ!黄昏よりも暗きもの、血の流れより紅きもの以下省略で竜破斬――ッッ!!」
「おっと」
きゅどごぶぐわあぁぁん!!
麓の町をも巻き込み、この地に新たなクレーターが生まれた。
「ぜぇっ…ぜぇっ…ったく!いつ、誰が愛したってのよ!」
まき上がった粉塵が晴れつつある中、肩で息をしながら佇んでいるリナ。
その頬が真っ赤に染まっていたことには気付いていない。
間一髪、逃げたゼロスは、
「『今』ですよ、リナさん」
上空にて彼女を見下ろしつつひとり、満足げに呟いたのち、闇に溶け込む様に消えた。
終わり?