novel

□大好き(高瀬くんの場合)
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「高瀬くんてかっこいいよね」


あ─まあ顔は整ってる方だし背もそこそこ高いし、おまけに肩書きは桐青高校野球部エース。そりゃかっこいいだろう。


「幼なじみっていう良いポジションにいるのに何もないの?」


何もって…幼なじみなんて、結局はただの腐れ縁。みんなより少し長く同じ時間を過ごしてた友達なだけ。特別、『何か』、なんて、ない


「だったら、さ、高瀬くんと話せるようにしてくれない?」


あ─、なるほど。結局高瀬がすきなんだ。
まぁ自分から女子に話しかけたりしないやつだし、休み時間は寝てて放課後は即部活。だかから高瀬と話せる機会って少ないみたい。

あたしは幼なじみでもあるからちょっとは話慣れてるっつ─か他より気ぃ使わなくて済むってゆ─か、案外話も合ったりして、それでなんだかわかんない笑いのツボとかがあって2人でバカ笑いしてると楽しいし…

あ、あれ?あたしって高瀬のことどう思ってんだろ


「お─す、」

「げ、高瀬(タイミング良すぎだよ!)」

「げ、ってなんだよ。愛想悪ぃな。つかなにボ─っとしてるわけ、っていつもか」

「うっわ、むちゃくちゃ失礼。あたしなりにいろいろ考えてたの」

「お前が何か考えてたりすんの?明日雨かよ」

「デリカシーってもんはないわけ?」

「んじゃ何考えてたんだよ」

「え、」


面と向かって『高瀬のこと考えてました』なんて言えるわけないじゃん。変な質問すんな。


「なんだよ、あ・もしかして俺?あは、んなわけ…」


ちょっと言い当ててんじゃないわよ。
あれ、もしかしてあたし、顔赤い?待って、待って。高瀬のこと考えてたわけじゃないし、って考えてたけど。そう、みんなが思ってることについて自分の中で協議してただけで。
うん、違う。決して乙女な意味ではないよ。


「あ─、えと、」

「、お!」

「お?」

「俺も、お前のこと考えてたんだけど…」

「あ、」


高瀬の顔も赤くなってきた。なんか目がバッチリ合っちゃってすっごい恥ずかしいんですけど。これって、どういう状況かな?つかこんな我に返って冷静になってるあたしってどうなんだろう


「なぁ、お前、俺のことどう思ってんの?」

「え、え─と」


恥ずかしいこと極まりないのでちょっと目をそらしてみたが逆に両頬を押さえられてまた目が合った。

どうって言われてもあたしが聞きたいんですけど。


「なぁ。」

「高瀬は?
高瀬はあたしのことどう思ってんの?」

「バカでアホでいつもボーっとしてて」

「何それ!」


「でも、 だからほっとけなくてずっと一緒にいたいと思える、…大好きなやつ」

「…高瀬、顔真っ赤」

「うるせ─」


あ、わかった、高瀬を見てて。ごめんね、かなちゃん(ちなみに冒頭の女の子)、あたしはあなたの恋のキューピットにはなれなさそうです。


「高瀬、」








(ん、なんてかっこつけてるけどめちゃくちゃ照れてるあなたが大好きです)






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