novel
□汗を流せ、涙も流せ
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「────くっそぉ…」
中学最後の大会に──
負けた
あたしの部活が終わったんだ
でも泣くなんてできない
ここまで泣かずにソフトボール部キャプテンとしてやってきたんだから…
最後の最後で泣くわけにはいかない
…練習が足りなかったのか、内容が悪かったのか、
何にしろ、負けたのはみんなを引っ張っていけなかったあたしの責任だっ…!
「んあ!いた!こんな体育館裏で落ち込んでんなよ」
「は…ない!?」
なんでここにいるわけ!?
こんなとこ見られたくないっ!
──って隣に座ってるし!
とにかくこの泣きそうな顔を見られたくなくて顔を背けた
「負けたんだって?」
「─!そうだよっ!それを言いにきた訳!?てか部活は!?」
「そうつっかかんなって。今日は半日だったから、お前の試合でも見に来てやろ─かなってな」
「─別にここまで来ることないじゃん」
「またお前のことだから自分のせいにしてんじゃね─かと思ってよ」
「っ、事実でしょ!あたしがもっとしっかりみんなを引っ張っていけてたら!…今までやってきたのは無駄だった…!」
「あ─お前、バカ?」
「はぁ!?」
その言葉にカチンときて花井の方を向いたら、彼は真っ直ぐあたしの目を見て…
「悔しいのは当たり前だ。負けたんだから。でもやってきたことは無駄なんかじゃねぇ。お前は精一杯みんなのために頑張ってきたじゃね─か!
だから自分がしてきたこともっと認めていいと思うぜ?」
「っ、」
不覚にも涙が出た
花井がいつになく真剣な顔をするもんだから
花井がなぜかほしかった言葉をくれるもんだから…
(そういえば『頑張ってきたじゃね─か』って、花井、見てたの?)(は!?あっ、ぐっ……)
案外冷静なソフト部キャプテン
→お話タイム