novel

□ワールド ウィズ ユー
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あたしはふと考えるの。もし世界にあたし一人だけだったら、って。誰もが一度は考えることを考えて、ちょっとため息をついてから一人でもやってけるか、って考えにたどり着く。だって炊事洗濯それから掃除、だいたい家事はできるし、喋んなくても生きていけるもの。なんてスケールの小さい考えをめぐらせる。


「もしさ、世界に自分一人だったらどうする?」


あたしは隣に座っていた島崎くんに話しかけてみた。すると少し驚いた顔をした。そりゃそうだよね。


「ごめん。変なこと聞いた」

「俺は」

「?」

「やっていけると思ってた」


彼はフッと笑ってあたしを見る。
あたしと同じだね。そしてまた彼の言葉に耳を傾ける。


「でも今は違う」

「え…」


「洗濯とか掃除とか、家事なら一人でできるけど、

ご飯食べたりキャッチボールしたりっていうのは一人じゃなくて二人で…違う。『お前と』二人でじゃねぇとダメだ、って思った」

「しま、ざきくん…」



驚いて彼の顔を見ると、いつもの微笑みはなく、はっきりとあたしの目を捉えた。


「お前がいねぇとダメなんだ」


そしてあたしはあまり深くない深呼吸を一つ。

どんな子でも堕ちてしまいそうな意地悪い笑いを向けた島崎くんの頬は少し赤くて、あったかくて…ってあれ、あたしが熱いのかな?

「お前のことが好きだよ」



ワールド ウィズ ユー


(答えはあたしの涙に消えた)






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