庭球

□篤さは僕等のパラメーター
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木々の間をから強い陽射しが差し込んでくる。

道の両側をよく伸びた木が生い茂っている。

二人きりでいられる少しの時間。

暑い陽射しは、どこまでも俺達を照らす。

「あっちぃ〜」

窮屈な制服を少しだけゆるませようとした。

「やめなよ、ソレ」

それを制止させようと日吉の手が伸びてくる。

触れる手は器用に乱れた制服を正していく。

「何すんだよ!」

「だってみっともないでしょ?」

さらりと言って、俺から離れる。

涼しげな表情をしているからお前はいいんだろうけど。

「どうしてあんたは俺が見ていないと…」

ぶつぶつ文句を言われて、暑い所をもって更に頭に血が上る。

「じゃあ、一緒に帰んなきゃいいだろ」

どうしてそんな事を言っちゃったのか…。

「お先に」

そうそうに立ち去って行ってしまう。

「嘘だろ」

残されるのは俺だけ。

さっきまで気になっていた外気の温度とか、体温とかが下がった気がした。




日吉を怒らせた。
いつも自分の我侭でそうなるのは解ってる。
でも、………我侭を言うな、なんてそんなのは無理だ。
好きな人だから、だから甘えたい気持ちを捨てろなんてできない。
俺達ってどうしてうまくいかない?
日吉は俺のことが嫌いなんだろうか。
だったら、付き合ってくれなくていい。
別れた方がいいのだろうか?
嫌だ、それは嫌だ。
それだけは…。





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