ポケモン擬人化 等
□創られた命
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「だったらボクは……ボクは……何なの?」
「お前はただの繋ぎものだ。死んでしまった意思の神の代用品」
小さな少女に、研究者はそう告げた。
神様が住まう世界、天上界は科学力が発達している。
普通のポケモンや堕ちたポケモンの住まう地上、魔界とは比べ物にならないほどに。
しかしその科学力が自然を荒らしている。
森が消え、森に住む神様が死んだ。
海が荒れ、海にすむ神様が死んだ。
湖が汚れ、湖に住む神様が死んだ。
その度に科学で死んだ神様の姿をした生命体を生みだした。
この少女――優里もそうだった。
優里は意思の神、アグノムが死んだために創られた代用品だった。
「ボクは……代用品じゃない! ボクは……意思の神アグノム」
「お前のような子供に意思の神は務まらない。此処で消えてもらう」
科学者は大きな火炎放射器を構える。
このまま高温の熱で溶かす気だ。
――そのとき、身体の奥で何かが弾けた。
優里は、無意識のうちに優しい光を放っていた。
温かく、優しい光。
それは研究者を包み込むと研究者とともに消え去った。
『――意思の神、アグノムの代用品が本物になったか。こんな事例、他にない』
懐かしい女性の声が聞こえたかと思うと優里はそのまま崩れるように倒れた。
優里は感じた。
この女性の声は、本物のアグノムの声だと。
出会ったことはないけれど、それだけは言えた。
この光もきっと、本物がくれた力だと。