ポケモン擬人化 等

□血に塗れた世界の果てで
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 世界が染まった。
 赤く、赤く。
 何よりも赤い。
 綺麗な赤ではなく、どす黒い感じ。

「いたぞ! 敵の生き残りだ」
「子供だろうと容赦はしない!」
「あ……」

 当時子供だったテノールは恐ろしさの余り動けない。
 まだ力もなく、時間を操ることは出来ない。
 このまま殺されるのだろうか。
 そんな恐怖に押し潰されそうになった。

「喰らえ!」
「うぅ……」

 胸に深々と剣が刺さる。
 血が吹き出す。
 みるみる蒼白になるテノールの顔。
 しかし敵の兵士は全く気にしていない模様。
 テノールが地面に倒れ、動かなくなったのを確認し、立ち去った。

「くっ……俺が子供だから……戦う力があれば……」

 力さえあれば守れる。
 自分も、大切な人も、世界も。
 皆に自由と言う名の時間を与えることだって。
 しかし無理だ。
 自分の従える三湖神はこの戦争で死んだ。
 感情の変化を敏感に察知したエムリットはそれに耐えかねて。
 自分の意思で動かない人が増え、哀しんだアグノムも死んだ。
 知ってはならないことを知った人間を見たユクシーも姿を消した。
 全部戦争の所為。
 力を借りられない自分は無力。

「こんな……こんな……」

 自分の胸に手を当てる。
 手は血でべっとりと汚れる。
 一瞬それに脅えた表情を浮かべる。
 鋭い痛みに襲われ、立ち上がる気力さえ奪われた。





「争いばかりの世界なんて……大っ嫌いだ」


END
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