小説

□優しく愛して
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「なぁコシマエ、知っとった?」






「男同士でもえっちできるんやで」






 
















優しく愛して
























それは

二人きりで俺の部屋にいたときのこと











「…え、は、?」












一瞬なにを言ってるのかわからなかった


男同士でも…なんだって?




 





「せやから、ワイとコシマエでもえっちできるっちゅー事や!!」











にこっ、と曇りひとつない眩しい笑顔を俺に向ける遠山

俺は唖然とした









…そんなこと、知ってるっつの








まだ付き合い始めて日が浅い俺と遠山

手をつなぎ
そしてキスをして
着々と段階を踏んできたはずなのに




遠山はなかなか次の段階に進もうとしなかった




もしかして男同士でもできることを知らないのか


と思ってた



自分で誘うのもなんだし
俺は何も知らないふりをしてたんだ



だけど



今遠山がそう言ってくれて











本音を言うと


…やっとか、って感じ








けどそんなこと悟られたくない俺は













「は、はぁ?そんなん知らないしっ」












ぷい、とそっぽを向いて

遠山と目を合わせないようにした



ずっと待ってた自分が

なんとなく恥ずかしかった











「じゃぁ、」













と、遠山は呟き

いつの間にか

俺を背後から抱きしめていた












「ちょ、…とお、やま」






「…今からワイが、教えたる」












はっとしたときにはもう遅くて

俺は遠山に抱きかかえられ
そしてやさしくベットに押し倒された




ベットの上でキスをされる

触れるだけの、やさしいキス



唇の後は頬、そして鼻

瞼、額、耳、そして首筋へとキスを落とされた













「と、やま…っ」



「っ、ん?」














俺が彼の名前を呼ぶと

顔をあげ、微笑する遠山



そのときの遠山の笑顔が

かっこいい、なんて思ってしまって



愛おしくて、愛おしくて


そしてこのキスがじれったく感じる



はやくヤろう、なんて言えないから




気持ちが伝わるように


精一杯遠山を抱きしめた












「っ、!?コ、シマエっ…っ」












遠山に想いが伝わったのか

遠山は俺をやさしく抱きしめ返してくれて


俺の耳元で囁いた













「優しく、するから…」






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