小説

□授業中のラブレター
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授業中

君に貰ったのは



汚い文字が書いてある

ルーズリーフの切れ端












授業中のラブレター














「えー、このグラフはy軸に対称だから、点Bの座標が…」










それは数学の授業中のことだった


ずらずらと黒板に書かれた文字を板書して
問題を解いて

いつものように
無駄のないように授業を受けていた

そんなとき





かさ、





と音を立てて机の上に紙切れが落ちてきた

それは紛れもなく前の席の奴からのもので








「なんや、謙也…」







前の席の奴と言うのは
恋人の謙也だ

コイツは俺の授業の妨害をしたいのか

俺がいつも真面目に授業受けてるの知っとるやろ!!!



お前とは違うんやっ!!


なんて
まぁ謙也の将来の夢はたいしたもんやし
それなりには勉強してるんだと思うんだけど


しょうがないから俺は目の前の紙切れをかさかさ開く


そこには
こんなことが書いてあった










『今日帰りたこ焼き食ってこ』









なんっでやねんっ!!!

なんでわざわざ授業中にルーズリーフ千切ってまでそないこと書くん!?

普通に休み時間とかに言えばええやろっ!!


あーホンマ無駄多い!!




いらっ、とした俺は

そのルーズリーフの切れ端に










『無駄多いで』









とでかく書いて

隅っこに小さく










『謙也のおごりならええよ』










と書いて

謙也の机に上手く着地するよう
慎重に紙を投げた


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