小説

□一番のプレゼント
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桜の蕾が目立ってきたころ







もう少しで


君の誕生日がおとずれる










一番のプレゼント














『なぁなぁ、コシマエ、今度わいの誕生日やん』




「うん」




『その日さ、東京行ってええか?』









リョーマは自室で、ペットのカルピンとねこじゃらしで遊びながら
金太郎と電話をしていた

そして電話越しに聞こえてきた言葉に
はぁ!?と反応する







「アンタ、1人で東京来れんの!?」

  

『行ける行ける!!』


 





あの金太郎が?

1人で新幹線に乗って東京に?


想像しようとしたけど
かなりモザイクがかかる






「無理無理」



『無理やないわ!!わい、その日はどうしてもコシマエに会いたいねんっ』



「へぇ…」









素っ気なく返事したけど
リョーマは今の金太郎の言葉で顔が真っ赤になった






(なんでそういうこと普通に言うかな…っ)






「…っ好きにすればっ」




『ええの!?いやっほおおうっっ!!』











まぁ
恋人の誕生日なわけだし
リョーマも金太郎に会いたいと思っていた

大阪に自分から行こうと思っていたけど
言いだせなかったところだから丁度良かった













『でなでな、コシマエ』




「…今度は何、」




『誕生日プレゼントはコシマエが欲しいねんっ!!』















「…は?、…はぁ!?///」











リョーマは絶句する

金太郎はその言葉の意味を分かっているのか

というか
純粋すぎる金太郎からそんな言葉がでるなんて…
どこで習ってきたのか…












「ば、ばかっ!!!何言ってんだよ!!!?」




『えぇ!?あかんの?』




「だめっっ!!!」









ぶぅーと電話越しにすねた金太郎の声が聞こえて
不覚にもリョーマはキュンとしてしまった

は、と我にかえり

とにかく!!と言葉をつなげた









「4月1日、家でね」





『え!?それだけ!?』






「俺ん家の場所わかるでしょ?」





『わかるけど…え、迎えとか来てくれへんの!?』





「自分で来て」





『なんでやぁ!!』






「じゃ、また」






『あ、ちょ、コシマ』









プツン、
と一方的にリョーマは通話を切る

プープーと通話が切れたことを示す音が部屋に響く

リョーマはその音が鳴る携帯をじっと見て呟いた










「…プレゼントが、俺…」







するとリョーマは何か決心したかのように
立ち上がって部屋を出て行った















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