小説

□おやすみの前に
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眠れない君へ




「早く眠れるおまじない、」




 






おやすみの前に















金太郎がリョーマに電話をかけたのは

リョーマがベットに入って電気を消した瞬間だった










「…何」




『眠れんのやぁぁっ』










金太郎がこんな時間(現在午前1時)まで起きていることなんてないから
嘘ではないと確信したリョーマ

まぁリョーマも次の日には朝練があるし
こんな遅い時間まで起きていることはめったにない

けれど金太郎なんかは
もう9時くらいに寝てるんじゃないかと思ってしまうほど子供だから(←失礼)

多分嘘ではないだろう











「羊でも数えて寝たら」



『無理やったねん』









今にも泣きそうな声が聞こえた

リョーマは金太郎が羊を数えながら寝ている姿を想像して
あまりにも似合っていたため吹きそうになるが平常心を保つ



俺はもう寝たいんだけど
とリョーマは呟いた








「…で、俺は何をすればいいの?」



『子守唄歌ってぇな♪』



「無理」








えぇえぇえええぇぇっ

電話から耳をふさぎたいくらいの大声が聞こえた

コイツは俺が断ることを分からなかったのか

リョーマは心の中で思った
普段のリョーマの性格からいって
そう簡単に子守唄を歌うなんてどう考えてもない







「叫ぶなよ…近所迷惑だろ」



『だってぇ…コシマエーっ、なんとかしてやぁ』







そんなこと言われても
リョーマがなんとかできる問題じゃない

そりゃ今から大阪に行って
隣で添い寝したいのはやまやまなのだが

なんて思ったけど
本当に来て、と言われそうだからリョーマは黙っていることにした








「そのうち眠れるでしょ」


『それが無理やから電話かけとるんやろ!?』


「俺、もう眠いんだけど」


『ワイは眠くないんや!!』









自分勝手な金太郎にリョーマは呆れたが



(…そうだ)


良いこと思いついた、

リョーマは少し悪そうな笑みを見せた










「遠山」



『…んぅ?』



「俺、知ってるよ」










「早く眠れるおまじない、」











言うとリョーマは
携帯の喋り口にリップ音をたててキスをした







『……え』



「ん?」




『なァああぁあぁぁああぁぁ!?』





「だから、近所迷惑…」







いいいいいいい今のぉぉっ!!!!?
さっき以上に大声で叫ぶ金太郎

まぁ驚くのも無理ないだろう






『キっ、キキキキキ』


「おやすみのキスじゃん」


『おぉおぉぉおおおぉぅあばばばばば!!!?』


「ちょ、何それ…」







電話越しでは分からないけど

多分今金太郎は顔を赤らめて照れているのだろう
そう思うと
もっといじめたくなる

リョーマはドSという名のスイッチが入った







「ねぇ遠山」


『おおおおお、おん!?』


「俺も眠れないんだ」


『そかそか…、…ん!?』









ま、まさか!?

金太郎が気づいたときにはもう遅く








「俺にもおまじないしてくんない?」



『い、嫌やぁっ!!!』








金太郎が思った通りだった

金太郎は全力で拒否する








「なんで…」



『せやかて…恥ずかしいやろ!!』



「どうせ誰も聞いてないし」



『うっ…』









ほら早く、

リョーマが急かすけど



無理無理無理、

と金太郎は全力否定する



どうしてもキスしたくないらしい金太郎に
リョーマは最終手段をとる








「そっか…わかった」



『せや、わかったか!!』



「遠山は、俺のこと好きじゃないんだね…」



『は!?いや、違』



「もういいよ…おやすみ」



『ちょ、コシマ、ストップストーップ!!!!』







慌てた金太郎は
通話を切ろうとしたリョーマを急いで止める







「何」



『ワイ、コシマエのことめっさ好きやで!!』



「じゃあキスしてよ」



『いっ!?今日のコシマエおかしいで!?』



「早く」










これで駄目だったら諦めるつもりだったリョーマだけど








『っ…一回、やで』







やっと決心した金太郎








「うん、早く」



『…っ』








少しの間があく

ふぅ、と金太郎の声が電話越しから聞こえた
恥ずかしがっているのがわかる


そんな金太郎に
会いたいと思ってしまうリョーマ


今すぐ顔が見たい
会いたい
会ってキスしたい

そんな衝動を抑え
金太郎がキスするのを待つ








『…っよし』








ただキスするだけなのに

今からテニスの試合だ!!

と言いださんほどの気合いが金太郎から感じ取れるのはなぜだろう


そして






ちゅっ、

という可愛い音が電話から聞こえた








『ど、どうやぁ!!ややややってやったで!!!』








はははぁ!!
となぜか自慢する金太郎は
多分それでも照れ隠しのつもりなんだろう










「ん、遠山可愛い」



『なっ!!』



「これで眠れる?」



『…ん』










最初は適当に思いついて
ノリでやってみたけど

結構効果があったりして














おやすみの前に

 











「おやすみ、遠山」



寝る前にリョーマに電話するのはやめようと誓った金太郎だった



















あとがき



はい!!

水無月様のリクで「リョ金で電話越しちゅー」でした!!

なんか駄作になってしまった;

ごめんね水無月さん!!許して!!

え、許さない?

ごめんねぇえぇえぇえぇええぇぇえぇぇOTZ



こんなのでよければ

水無月様に捧げます!!




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