小説

□Best Partner
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「けんや、さん…っ」











財前の声がしたから
少し俯かせてた顔をあげる


そこには

さっきまで深く俯いていた顔をあげて
こっちを見て




そして






目から涙をひとしずくこぼして

眉毛を悲しそうに曲げて

財前は、こっちを見つめてきた





一瞬目を疑ったが

財前が俺だけを見て











「俺も、嫌に決まっとるやろ…!!!」










多分、限りなく本音に近いことを言ってくれてる

あの、財前が、だ

嬉しかった

嬉しくて、嬉しくて


そして、切なかった









「謙也さん、ホンマばか…っ、なんでダブルス辞退したんや…!!」









大声で財前は叫んだ

今までこらえてきた叫びを
今、俺の前だけで話してくれてる 

俺が財前とのダブルスを千歳に譲ったことが気にくわなかったらしい


俺も、後悔してるかしてないかといったら
後悔してる

あれが財前との最後のダブルスだって知っていたら
俺はダブルスを辞退しなかったと思う

 
 









「あれが、最後だったんやで…?そりゃ決勝行ける思うてたけど…っ、」










一度溢れた涙は止めることができないらしく
ぽたぽたと、財前の頬には涙がたくさん伝う



 
   






「もぉっ、謙也さんとダブルス組めへんの…?一緒にテニスできひんの…?…俺、俺…っ」










そのあとなにかいいたげな財前だったけど

我慢できなくなった俺は


自慢の足で財前の元まで駆けつけて

ぎゅっ、と強く抱きしめた











「え、…!!?け、や、さん…!?」


「財前…」












男なんかに抱きしめられてびっくりするよな、

でもこんな財前が放っておけなかった



今、ここで想いを告げるのは卑怯なのかもしれない
 
だけど

抑えきれなくて

伝えたくて  















「ごめん、財前……好きや、」
















もし俺が今の状況でこんなこと言われたら
多分キレるだろう

けど
キレられても、なんでもいい



とにかく君に想いを伝えたかったんだ







俺は怖くて目を瞑っていると







きゅ、





背中に回された手、
弱い力で握られるジャージ


その手はまさしく財前のもので











「財前…?」









俺が名前を呼ぶと

その手にいきなりぐっ、と力が入った









「っ、財前」



「遅いねん、スピードスターは脚だけなんやな…」



「な、どういう意味や!!」











俺が少し大声を上げると

財前は俺の胸に埋めていた顔を上げ
俺に言った








「ずっと待っとったんや…謙也さんがそう言ってくれんの」


「え、」



「…好き」









夢だろうか、これは

泣きながら微笑した君が
俺に好きと言ってくれた

 








「…ホンマに?」


「こない状況で嘘つくと思います?」


「…ううん、」











そうしてお互いに笑いあう

さっきまでの悲しさは嘘のようだった


財前が俺に好きって言ってくれて
本音をぶつけてくれて


これ以上の幸せなんて、思いつかない









「好きや、大好きや、財前…」



 





ぎゅぅっ、ときつく抱きしめると

財前は顔を赤くした








「け、やさん…っ、キモいッスわ…」







なんて言った財前だけど
抵抗はしてこなかった










「なぁ財前、俺らまた一緒にテニスできるよな?」


「…あたりまえッス」


「俺のパートナーは、ずっと財前だけやから」


「あたりまえッスよ…」


「また、ダブルス組もうな?」





「…はい、」












ぎゅっ、と財前の手に力が入った





会える時間は減るかもしれないけど

俺たちの絆は変わらない



ずっとずっと


俺の一番のパートナーは…

















Best Partner

















財前だけやから
























あとがき


最終的に何かいてるの自分←

全国大会ネタを書きたかったんだけどね、

どうしたんだろうね、

某サイト様とpixivを見てて

謙光に目覚めた(`・ω・´)

光謙もいいけどね

あとねー

光蔵とかいいよ

蔵は受けがいいな、

基本好きなキャラは受け願望←





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