小説
□僕の名を呼んで
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5日前
俺と遠山はいつもどおり
夜の決まった時間に電話していた
遠距離恋愛だからお互い不安だったけど
毎日電話しててそんな不安も和らいできた
『そんでさぁ〜白石がなっ』
俺はその日
四天宝寺の部長の
白石さんの話しかしない遠山にイライラした
『そんとき白石がぁ〜』
「…あのさ、」
『おん?』
「なんで白石さんの話しかしないの?」
俺が言うと遠山は
『あ、コシマエそれってヤキモチってやつかぁ!?』
図星をさされた
それでイライラしたんだ
なんでコイツはすぐわかるんだ
自分ばかり振り回されているようで、嫌だった
「違う…!!!」
『…コ、シマエ?』
「だいたい、なんでこんな毎日電話してくんの?俺勉強しなくちゃいけないし、それに素振りとかもしたいんだよ、こんな毎日電話かけないでくれる?」
「迷惑、なんだけど」
言ってから後悔した
しまった、と思った
そんなこと思ってないのに
「あ…」
訂正しようとした
でも言葉が出ない
「とうや、」
『コシマエ』
遠山の声は
いつもと違かった
元気がなかった
明るくなかった
『ごめん、な』
そして
プー、プー、と
通話が切れたことを表す音だけが
部屋に響いた