みじかいの

□スカート、ひらり
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昼下がりの、屋上。

一護「…。」

さっきから俺の視線は、同じ場所を行ったり来たりしている。

たつき「まーたアンタは、そんな短いスカートはいて〜!!」

花音「そう?」

たつき「そうだよ!!その長さ、階段とかで絶対パンツ見えるって。」

花音「ん〜…?」

そう言いながら、少しだけ後ろを向いて自分のスカートの長さを見る花音。

おい、たつき。
女子がストレートに「パンツ見える」って言うのも、正直どうかと思うぞ。

啓吾「何言ってんだよ、有沢!!女子のスカートはこれぐらいが調度いいんだよ!!」

たつき「うっわ…、あたし、当分の間啓吾に近づくのやめるわ。」

啓吾「大丈夫だ、地球が反転しても俺はお前には手は出さない。」

たつき「はぁ!?」

俺の目の前で、繰り広げられている、この会話が。

花音「んー…短い、かなぁ…?」

たつきに言われたことをずっと気にしてるみたいで、いろんな角度から自分のスカートを見ている。

ここだけの話、俺はコイツの事が好きな訳で。

好きっつーか…付き合ってる。

その事を知ってるのは、たつきとチャドと井上だけ。
石田には話してないけど、気付いてたらしい。

啓吾「いや、いいんですよ!!花音さん!!」


いや、よくねーから。


なんで、お前みたいな下心バンバンの奴に花音の太ももを見せなきゃなんねーんだよ。

と、嫉妬にも似た気持ちが俺の中で渦巻いている。

花音「…どう思う?チャド。」

一護「…。」

んで、何でそこでチャドに聞くんだよ。

こういうつまんねー事ですら、今の俺には気に入らない。

茶渡「ム…。俺に聞くより、一護に聞いたほうがいいと思うぞ。」

チャドの言葉に俺は一瞬耳を疑った。

チャドの事だ、悪気はねーと思う。

啓吾「チャド〜、一護が女の子にそういう事言えるわけないだ「…短けぇ。」…一護!?」

俺がやっと発した言葉がソレだった。

花音「一護?」

少し不思議そうな顔をして、俺が持たれていたフェンスまで近寄ってくる花音。

俺はフェンスから体を起こして花音の前に立つ。

一護「だから、短けぇっつってんだよ。」

啓吾「いいいい、一護!?どうしちゃったの!?」

水色「本当に肝心な時に空気読めないよね、浅野サン。」

啓吾「!?」

そんな外野の会話は全部無視だ。
この際、付き合ってることがバレたって構わねぇ。

花音「…ごめんなさい。」

ショボーンっていう音が聞こえてきそうな顔をする花音。

一護「…あと5センチ。」

花音「え?」

一護「最低、あと5センチは下げろ。そしたら、まぁ許容範囲だな。」

なんつー嫉妬の塊だ、俺は。

花音「じゃぁ下げる!!」

”許容範囲”っていう言葉に花音は表情を明るくして、スカートを止めていたベルトをはずして、織り込んでいたスカートを伸ばし5センチ位下げた。

花音「どう?」

そう言いながら、花音は360度回って見せる。

だから、そうゆう事するから見えるっつってんだろーが。

一護「いいんじゃねぇの?」

花音「やった!!一護、大好き!!」

一護「はいはい、どーも。」

スカートをひらひらさせながら真正面に飛び付いてくるもんだから、押しのけることもできず。

スカート一つで彼女に振り回されてる俺も、末期症状だな。




スカート、ひらり





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