みじかいの
□Spring of LOVE feat.黒崎 一護
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花音「くろさき…何て読むんだろう…。」
廊下にポツンと落とされていた、教科書。
いつから落ちていたものかはわからないけど、皆拾ってあげればいいのに…。
1−3…隣のクラスだ。
空座高校に入学して、約2ヶ月。
学校生活にも慣れて、友達も出来て。
それなりに毎日を楽しく過ごしていた。
花音「届けてあげよう。」
私はその教科書を自分の手に抱え込んだ。
「花音〜?どうしたの?」
花音「いや、教科書落ちてたから届けてあげようと思って。」
「誰の?」
花音「えっと…、くろさき、くん?」
私がその名前を伝えると、友達の表情が変わった。
「くろさきって…、黒崎一護!?」
花音「あ、知ってるの?友達?」
私がそう訊くと、今度は信じられないとでもいいたそうな顔を舌。
「逆に、知らないの!?黒崎一護って言えば、血統書付のヤンキーじゃん!!」
花音「そうなの?」
血統書付の、ヤンキーねぇ。
ヤンキーだろうが、なんだろうが教科書ないと後で困るだろうし…。
「辞めた方がいいって、関わらない方がいいよ!!」
花音「でも、教科書ないと困るでしょ?私、届けて来るよ。」
「ちょ、花音!?」
友達が叫んでいるのを適当にあしらって、私は1−3の教室へと向かった。
花音「ここ、か…。」
教室の中を覗いてみると、うちのクラスなんかよりももっと個性の強そうな人たちがたくさんいた。
この中にいるかな、黒崎くん…。
「すいません、通ってもいいっスか?」
花音「あ、ごめんなさい。」
私は振り返り、後ろの人に謝り道を開けた。
「…ややっ!?」
花音「…はい?」
「あ、あなたは1−1のアイドル・春風花音さん!?」
ア…アイドル…?
私が…!?
「まさかこんな所でお近づきになれるなんて!!浅野啓吾、感激です!!」
浅野くんって言うのか…。
あ、そうだ。
花音「あの、このクラスに黒崎一護って人いますか?」
啓吾「一護?います、いますよー!!おーい、一護!!お客さん来てるぞー!!」
浅野くんはとてもなく大きな声で、教室に向かって叫んだ。
浅野くんの声に、クラスの視線が集中してくる。
「なんだ、啓吾。」
名前を呼ばれて近づいてきたのは、オレンジの頭をした長身の男の子だった。
この人が血統書付きのヤンキー…。
って事は、浅野くんは舎弟…?
啓吾「このいかついのが、黒崎一護だよ!!」
花音「あ、私1−1の春風花音って言います。」
とりあえず、私は黒崎くんに向かって名乗った。
一護「あー、黒崎一護だ。俺に、何か用か?」
私は黒崎くんに教科書を差し出した。
花音「これ、廊下に落ちてました。無いと困るかなと思って。」
一護「マジか…。探してたんだ、コレ。」
黒崎くんは教科書を受け取って、気まずそうな顔をした。
一護「わざわざありがとな。今度、お礼するわ。えーっと…。」
花音「いいよ、お礼なんて!!あ、名前は春風花音だから。それじゃぁ!!」
一護「お、おい!!」
Spring of LOVE
私にも、春が来たかも…。
*