みじかいの
□SWEET HOME
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学会からの帰り道、いつもよりも足早に自分の家へと向かう。
「あ、いちごせんせー!!」
公園の横を通り掛ったとき、遊んでいたガキに名前を呼ばれた。
一護「お、風邪治ったのか。」
先週、俺のところに来たガキだった。
高校を卒業して、医大を出た。
今は、親父と一緒に実家の町医者を切り盛りしている。
「うん!!」
俺は駆け寄ってきたガキの前にしゃがみこんで、頭をなでた。
やっぱり子供はかわいいと思う。
一護「じゃあ、もう腹出して寝るんじゃねーぞ?」
「僕、お腹出して寝ないもん!!」
「べーっ」と小さな舌を出しながら、公園の中で待っている友達の元へと戻って行った。
一護「さて、」
俺は立ち上がりと、さっきと同じように自宅への道を歩き出した。
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一護「ただいま、」
家の中は静まり返っていて、かすかにいい匂いが漂ってきた。
親父はまだ診察の時間だし、遊子と夏梨は手伝いでもしてんのか?
とりあえず、そのいい匂いの元へ行こうと俺は真っ先にリビングへ入った。
花音「♪〜〜♪♪〜」
気持ち良さそうに歌ってんなぁ。
鼻歌を歌いながら、キッチンに立ってる彼女。
俺が道草をせず、まっすぐ家に帰ってきた理由。
鼻歌と鍋から聞こえる音がリビングを満たしていた。
俺が入ってきたことには気づいている様子もないので、鞄をそっとソファーにおいて足音を立てずに彼女に近づく。
そして…。
花音「…わっ…!!ビックリした〜。」
後ろから、抱き付いてみた。
普段はこんな事しねぇんだけど、幸い今ここには俺と彼女以外誰もいない。
一護「ただいま。」
花音「もー…、おかえりなさい。」
少しふてくされながらも、ふんわりと彼女は笑った。
一護「今日、何?」
花音「今日はね〜、一護さんの好きなカレーです。」
そう言いながら、彼女はまた笑った。
その笑顔は、お袋にそっくりなんだ。
今じゃ、俺だけじゃなく親父も遊子も夏梨も花音の事が大好き。
新しい我が家の中心になっていた。
花音「一護?どうしたの?何かあったの?」
俺が一向に動こうとしないのが気になったのは、花音が俺に訪ねてきた。
一護「いや、…なぁ、花音。」
花音「ん?なぁに?」
”愛してる”
SWEET HOME
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