テニスの王子様
□イルミネーション
1ページ/1ページ
「綺麗だね。」
「せやな。」
財前とその彼女である名無しさんは、クリスマスムードの街中を一緒に手をつないで歩いていた。街路樹は電球がいくつもついており、赤や青に点滅する。
「カップルが多いね。」
彼らと同じように、手をつないで歩くカップルがたくさんいる。
「ああいうのと一緒にされたないわ。」
財前は目線だけその方向にずらした。視線の先には、大胆にイチャつくカップル。しかも、男性は50代後半ぐらいで、女性はかなり若い。ベンチに座っているその二人。男性はベタベタと女性に触れている。
「...はは。」
「ほんま、見ててウザイわ。」
財前はそういいながら名無しさんの手を引いて再び歩き出す。
「どこ行くの?」
「あそこ。」
財前が向かったのは観覧車だった。あらかじめ予約しておいたのだ。
「...ありがとう。」
「別に。」
二人は観覧車にのった。ゆっくりと上昇していく。夜景も美しかった。
「名無しさん...」
「ん?」
「景色ばっか見てないで、俺のことも少しはかまえや。」
財前が名無しさんの手をぎゅっと握った。
「///光..」
チュッ...
ゆっくりと唇を重ねた。一度離したところで、また重ねる。財前は名無しさんの頬を押さえて角度を変えたキスを何度もした。
「ん..っっ」
「ハァ..。人目気にすることなく出来るから、ここ選んだんや。もっとするか?」
Sっ気な笑みだが、優しい微笑であった。名無しさんはコクリとうなずき、また唇をかさねた。
「名無しさん好きやで。俺だけ見とってや。」
「うん。私も光が好き。」