短い話

□終わって
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「いつから…気づいてたの」

イタリアにあるボンゴレ本部のある棟のある人気のない廊下。
太陽の光が名前の後ろの窓から差し込み、逆光で名前はどんな表情をしているのか、獄寺には、見えなかった。


「初めから。」
苦々しく、でもそっけなく答えた。



2人しかいないこの空間は、世界に2人だけしかいないような錯覚を生んだ。

「そっか。さすが、右腕、だね。」
たどたどしく話す名前の手には、ボンゴレの極秘情報が入ったメモリカードが握られていた。

「あたりめぇだろ、」








穏やかに時間が過ぎていった。

「このことは、」
ふと、獄寺が重々しく口を開いた。
先程とは違う、低い声。

「…」

「俺しかしらねぇ」

「…」

「だから、こい」

「…!」

「俺が、おまえを助けてやる。」

「っ、」

「おまえは、なにもしていない。」

「ごく、で、ら」

「おまえは、ボンゴレのファミリーだ。」

「ぅ…あっ」

その言葉は、ボンゴレに隠す、という意味を指し、獄寺にとってはとても重い意味だった。
あの尊敬する彼を欺くということ。
それを、全てわかって言っている、彼が。

あたしも、一緒、だよ。
一緒に背を背けよう。
この世界に。

「獄、でらぁっ、」

「名前」

カシャン、と足元にメモリカードが落ちる音がした。



わたしの世界は終わって再び始まる。
(わりぃ、おまえが好きなんだ)(あ、あたしもっ、好き、っ)
((罪は今始まったばかり))

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