ばくすい

□守りたい人。
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暇やわ。
今日は部活ないし
謙也は委員会
小春とユージはお笑い見に行ったし
銀さん修行やし
金ちゃん補習やし
財前はなんで俺が部長と帰らなあかんねん言われたし

はぁ…

ん?

なんやあそこにおっきい荷物抱えたおばさん居るやん

これは手伝わなな!!
俺、ええ人やからな。


「大丈夫ですか?ごっつい荷物抱えて」
「あら。大丈夫やで〜おおきにな」
「俺運びますよ。今ちょうど暇ですし」
「おおきに。じゃ、遠慮なく」

…重っ。

俺は平気やけど
こんなんおばさん大変やったやろ…


「アンタ、中学生?」
「あ、はいそうです」
「私んとこにもね、中学生の子が習いに来てんのよ〜」
「?何かされてるんですか」
「書道教室をね」
「そうなんですか」

じゃぁこん中に入ってんのは書道の道具?
こんなおもいっけ?

書道っておとなしいイメージや…

「ここやで。あ、お茶でも飲んでいき」
「あ、俺はここで…」
「せーんせー!!!!一人で大丈夫やったー?
 やっぱりうちいった方がよかったんちゃう?」

出てきたのはおとなしいからかけ離れた人やった

「うわ。白石!?なんでここ居るん!!」
「あやのこーじこそなんでここに…」
「だって…習ってるもん。」

意外やわ。
まさか、クラスの中でもうるさいし、馬鹿やし
いかにも体育会系のこいつが書道って…

「知り合いにばれたくなかった…」
「書道のイメージが崩れた…」
「二人とも知り合い?ほんなら話早いやん」
「何がよ先生〜。」
「まぁまぁ白石くん?あがり〜」

と、成り行きであがらしてもらったんやけど

先生がなんか準備ある言うて部屋に2人の状況
気まずっ

「白石、あんま、みんなよ」
「なんで?」
「恥ずかしいから。」

何をそんな恥ずかしがってんねや?

次の瞬間あやのこーじが筆を半紙に滑らしていく
まるで絵を描くように
柔らかくそれでいて速さがあって…

なんやろ、この気持ち
人の字を見てこんな感動ってできんねんな

「…」

「白石?おーい。白石ー?」

この時俺は恋に落ちた。
正確にはあやのこーじの字に恋したんや
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