いつわりびと空

□甘い時間
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「九十九ー!!」
「…どうした。空」
「……あんな?………甘えても…エエ?」
空は九十九に抱きついて言った。九十九はそんな空に一瞬目を見開いてから。
「ああ、いいぞ」
「おおきに…」
それから空は九十九の膝に頭をのせうとうとし始めた。
「眠いのか?」
「…ん、少し…」
「寝てもいいんだぞ?俺はお前の寝顔が見たい」
九十九は微笑みながら言った。
「…なんや、恥ずかしいねんけど…」
否定しない。と言うか眠くて何も考えられなくなっていた。
「…寝ろ。俺はここにいる」
「…ん…ほな、おやすみ…九十九」
「おやすみ。空」
数分もしない内に寝た。九十九は優しい手つきで頭を撫でている。
「…あまり、無理をするなよ…」
一人、ぼそりと呟いた。九十九は思った。
コイツは俺達のために睡眠時間を削ってでも作戦を考える。自分は後回しだ。俺達を最優先して自分より仲間を守ろうとする…俺は嘘は嫌いだ…だが、コイツに出会って“いい嘘”というものを知れた。あの時、族にあんな事をされてまで想いを伝えてくれた。俺は、それに惚れた……あの時からコイツに思う気持ちが大きくなった。大切だから………
「…ん」
「…(夢でも見てるのか?)」
九十九は頭を撫で続けた。




*********************




「…んぅ…」
「…起きたか?」
「…つ…くも…」
「ん?」
「……キス…して?」
「…いいぞ」
こんなに甘える空を見て、驚きながらも嬉しいと思うのだ。
「…ん」
キス…と言っても触れるだけ。
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