detective ConaN
□お仕事
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あれから一か月。
黒ずくめからの音沙汰は一切なし。
しかし、裏の世界で人気者の暗殺者だったのかそれ以外の依頼はわんさか来た。
それこそ掃いて捨てるほど。たまに被ってくるから面白い。
それはそれで二倍報酬をもらっている。
顔を合わせることなくクライアントと話を進め、遠くから狙撃をする。
この一か月で殺した人数は20人。
三日に2人は殺している計算だ。
ひさしぶりに殺しの予定が入っていない爽やかな朝を好きな音楽をそっと流してダラダラと過ごしていると、携帯の着信音が鳴り響いた。
「……はろー?」
『久しぶりだな』
「やっぱりジンか。フラれたかと思ってたよ」
『随分と遊んでいるみたいじゃねぇか』
「そりゃ、あんなこと言われちゃあ憂さも晴らしたくなるし、好みの女になってやろうと思うよね」
『ああ、今のお前は好みだ』
「わお、ド直球」
ベルモットに殺されそうなセリフだと笑うと、ジンは鼻で笑った。
『お前に仕事だ』
「誰?」
『一か月前にお前が殺した会長の息子だ』
「うえ?なんで」
『詳しいことは移動しながらだ。あと3分で着く』
「え!?それならもっと早く電話欲しかった!って、切りやがった……」
私は切られた電話をベッドに放り投げて大急ぎで支度した。
今度はちゃんと水を飲んで、GSR1と携帯を持って部屋を出た。
ジンの愛車、ポルシェ356Aの後部座席に乗り込むとそこにはベルモットもいた。
「ひさしぶりね」
「ひさしぶり。人殺しそうな目してるけど、どうしたの?」
「あら、心当たりがないの?」
「あるっちゃあるけど、それ私のせいじゃないよね?」
GSR1の入ったライフルケースを抱くようにして隣のベルモットの様子を窺うと、嫉妬していますと顔に書いてある。
「好みの女になりたいんでしょ?」
「ええー。聞いてたのか」
スピーカーにしていやがったな、ジン。殺す。
「変な意味はないよ。折角組織から誘いを受けたのにこのまま白紙にされるなんてごめんじゃないか」
「本当にそれだけ?」
「本当本当。第一、私長髪好きじゃないし」
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