本3

□2
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collapse world
一世界
   二部品


―誰カ来ル―
ノイズを出していた音は鳴りやまないが、それに交じってピピピピッ、と言う音と主に画面に文字が並んだ。

―一、二、三、四、五、五人カ―

人形の瞳は閉じていたものの、昨日は何百年たったこの時でも生き続けていた。




カツカツ、と五つの足音が良く響く廊下に、帝隊が先頭になり歩き続ける。
その真ん中にはリンがいて、一番安全な場所にいた。

少し歩き続けると目的の場所が見えてきた。
その扉は赤い文字でlockと書かれており、その画面の下には1〜9の数字があった。

リンがそこに近付き右手でパチパチと音を鳴らして12つの数字の羅列を作りだした。
するとlockはopenと言う英語に変わり、ドアの接続部分が赤く光った。

「…これは…」
「リン君、どうしたんだ!?」
「……暴走している。オーバーヒートしている感覚に似ている。扉を触れば、開く代わりに目的物が出てくるかもしれないね」

そこまで言うとリンは扉に触れようと手を伸ばす。
が、それは帝隊にふさがれた。

「リン君! 君は彼を止める為に来たんだ!ここで殺すような真似はしない!」
「でも、今ここで彼が襲ってきても貴方達が勝てることなんて0パーセントに近い。だったら僕が触ったって同じだろうね?」

声に詰まった帝隊は銃を構えてリンの後ろについた。
一番長いリンの中指が触れるとプシュー、と言う音と主に水蒸気が溢れだし扉は開かれた。
誰も襲って来ない。
それをいいことに帝隊達は中へ入る。
銃を構えて四人は周りをバラバラに見、そして、ある方向を向くと突然とまった。
四人は椅子の上に座っている人形を見て、口を開けたのだ。
時間がとまったようにも見えたが相変わらずノイズの音は鳴りやまなかった。
そこにリンが入って帝隊と同じようにそちらを向く。
するとリンも帝隊と同じ様に口を少し開けて呟いた。

「……凄い」

これがかつてのロボット技術だとは思えないほどの数字の羅列と文字だった。
そして今現在もその文字は更新されていた。
それも物凄い早さで。

ただ、赤い警告ランプと数字の羅列の上から書かれる《危険》と《注意》の文字は点滅するだけだった。

その文字の中心はやはり人形の彼で。リンはゆっくりだが彼に近付いた。
リンは心臓を跳ねさせながら一歩一歩慎重に彼に近付いた。

「初めまして。アンロイダ。僕はリン。君はなんていう名前なんだい?」
手が彼に届くまで近付き、首をかしげる。
帝隊達も興味ありげにリンの周りに集まる。

「リン君、コイツは話が聞こえるのか?」
「多分ね。彼の後ろの両側を見てごらん。あの数字は全部彼の脳だ」

彼の後ろには三つの画面があり、彼の左右にも画面が二つずつ、彼の真正面、つまりはリンの後ろにあたる部分は画面が一つあり、合計8つのモニター画面があった。
動いている画面は彼の後ろの両側画面だけで、後はノイズ音を出す画面だった。

「ほとんどの脳は停止してしまっているようだけど、考える脳は消えていない。だから、きっと画面を通じて話すことも可能だと思う」

―良ク解ル餓鬼ダ―

突如、彼の真後ろの中心画面がノイズ画面から真っ白な画面になり、パソコンで打つように変換されていった。

「君は、動けないのかい?」
―メインハ停止サレテイル。オ前達ハ俺ヲ壊シニ来タノカ―
「違う。回収なんだ。これ以上時間がたつと君は暴走してしまうかもしれないからね」
―コトワル―

瞬間、ウィン、と言う音が鳴った。
それは彼から出た音だと思い、とっさにリンは彼を見た。
すると彼は自分の足を見ており、瞬きをしてその間には動かない顔から瞳だけリンをとらえていた。

それに驚いたリンは声にならない声を出して後ろに下がった。
帝隊達も銃を彼に向けて震える手で銃を握った。

―無理矢理デモ、動カス―

ギギギ、と言う音と共に彼が顔を上げた。それは錆びた物を無理矢理動かすようで、リンは少し可哀そうだと思った。

が、次の瞬間、背中のコードは先ほどまで天井についていたのに、天井から見放され、ボトボトと椅子の上に力なく倒れる。
背中のコードは次第に動き出し、そしてそのまま彼の周りを取り巻きだす。
触手に近い動きをするが、それはやはりロボットみたいないな動きをして、カクカクとゆっくり動く。
なめらかなフォルムの癖に動きは鈍い。そこはやはり昔の技術だった。

コードは彼を取り巻いた後、全て解かれ、出来るだけ伸ばし、リン達をとらえようとした。
それも、先ほどとは違う素早い動きで。
コードの先はバチバチと電気を発していて触るとしびれるようになっているようだ。

「リン君逃げろ!!」

帝隊の声が聞こえ、リンは必死に逃げた。
それを追って帝隊達も追ってくる。その後ろにはゆっくりと歩いてくる彼の姿。腕からは無理矢理外したのか、腕の部品が顔をだしていた。

「目的まであと少し!!」
リンが叫んだ途端、目の前には先ほどまで乗っていた機械があった。

それに乗り込むように帝隊達は乗り込み、三本の腕を使う準備をした。

「あのコードをどうにかしない限りきっとこの機械も取られると思う。そこで、僕は気付いた。あの電気を自分に浴びせれば少しの時間ショートするんじゃないかと」
「どうやってやるんだ」
「そこが問題なんだ。そこで僕に良い案がある」
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