長編

□unusual days!
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「グミ食べる?」

「…うん。」

「あ、飴もあるよ!あとは、チョコとか!」

「…うん。」

「…大丈夫?」

「…うん。」


新幹線で隣の席の京子が心配して何度も声をかけてくれる。
が、私の耳には入ってこない。


「リボーンくんなら大丈夫だよ!あんなに仲良かったんだもん」

「…そうかなぁ…。」


結局あのままリボーンとは何も話さず修学旅行まで来てしまった。
意図的に避けていたわけではなく、たまたま会う機会がなかっただけ。
なのに、最後に言ってしまった酷い言葉を反芻するたびに、あんなこと言わなければよかった、と後悔する。

こんな状態のまま修学旅行になんて、来たくなかった…


「怒ってるだろうなぁ…。もしかしたら、見捨てられちゃったかも…」


むしろ見捨てられて当然だ。
いらない、なんて言ってしまったのだから。


「それはないんじゃないかなぁ」

「…え?」

「リボーンくんがナギを見捨てるなんてありえないよ」


確信を持った表情で京子が言ってくれる。
が、リボーンの気持ちはリボーンしかわかりえない。


会いたい…。


気分は落ちていくまま、あっという間に大阪へと着いてしまった。













「待ってよツナー!!」

「早く行かないと、行列ができちゃうんだって!」


いつものメンバーの班で、大阪をまわる。
私にとってはじめての大阪はどこを見てまわっても刺激的で、いつのまにか憂鬱な気分なんて吹き飛んでいた。


「お、おいしー!」

「こんな美味しいお好み焼き、初めて食べたかも…!」


ほかほかの本場のお好み焼きをめいっぱいほおばる。
なんて幸せなの…!


「次どこいくー?」


そういい、ツナたちと観光雑誌の地図を広げる。
とその時、


「この店は並盛高風紀委員の貸切だ。関係ない者は出て行け。」

「…え?」


皆で一斉に振り返ると、学ランを着た真っ黒い集団がいた。
あれ、うちの学校って学ランだったっけ…?


「…ま、まさか…」


ツナ達の顔が一斉に蒼白になった。


「え、なに?なにが起こったの?」


みんなさっさと帰り支度をし始めるが、私は訳がわからずオロオロしている。


「ナギ!!早く!!」


皆店から出て、私にも早く出て来いと催促する。
しかし私はなんで出なくてはいけないのかわからずまだ店の中に居座る気満々だ。


「だってまだ行くところ決めてないよー?」

「いいから!とにかくこっちに…、って、雲雀さん!!」

「やあ、草食動物たち。なに群れてるの?」


ツナの後ろから、なんだか私服を着た黒髪の釣り目の男の人がやってきた。


「んなー!?なんで卒業したのに俺たちの修学旅行に乱入ー!??」


ツナが顔を更に蒼くしながら悲鳴まじりに叫んでいる。
そしてその男の人が、私に向かって一直線に歩いてくる。


「君、なんでまだお店の中にいるの?」

「えっ?あ、いや…まだ居たいからです!」

「…それ答えになってないよ」


つり目をさらにきつくし、私を睨みつけてくる。黒い学ランの人たちも続いて一斉に私を睨みつけた。


「そもそも!お店は皆が自由に入って、くつろげる場所ですよ!なんで誰かに退かされなきゃいけないんですか!」


思わず年上だとはわかっていたが、口答えしてしまった。
ツナたちが、あちゃーっといった顔をしている。
せ、正論を言ったまでだもん!


「おまえ!、いいからさっさと、」


学ランの不良の男の1人が私を強制的に追い出そうとつかみかかってきたが、それを雲雀と呼ばれた男が途中で制する。

そして私の顔をじぃっと見てくる。
な、なによ!


「…きみは…そうか。」

「え?」


1人何か納得したように言われても…
私の顔に青海苔でもついてたのかな?


「僕の後についてきて。」


そういってヒバリさんは有無を言わさず背を向けて歩き出す。
それも私の腕をがっちりつかまれているので半強制的に連れていかれる。


「ちょ、ちょっと!待ってください!」


何を言っても無視され、聞く耳を持ってくれない。
ヒバリさんはスタスタと歩き続け、店を抜け、ツナ達の横もすり抜けていく。
どこまで行くんだろうか……







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