長編

□unusual days!
7ページ/12ページ




「首の絆創膏、どうしたの?」

「いや…、なんか蚊にさされたみたいで」


こんな冗談が通じるのは京子くらいしかいない。
皆わかっているだろうが…あえてきかないんだろう。
花なんて朝からニヤニヤしてみてくるしね。




『絆創膏張ってけよ。バレバレだろうが、ないよりはましだろ』


そういって今朝、リボーンから絆創膏を渡された。
鏡で見てみると、首元に赤い痕がある。
恐らく昨日、リボーンに押し倒された時に付けられた痕だろう。
俗に言う、キスマークというやつだろうか。
私はそこらへんの知識があんまりないのでよくわからないが、見せているのはまずいらしい。




「あんたもさぁ、彼氏できたんなら言ってくれればいいのに。」

「あぁ、…まぁ、ね。」


案の定花に突っ込まれるが、正直にいないとは言えない。
むしろいないのにこんな痕付けてる方が、なにやってるんだって話になるしね。

幸いなことに京子は意味がわかっていなかったようで、深く突っ込まれなくて済んだ。



「そういえば、今日だよね!修学旅行について詳しく決めるのって!」


京子が心底楽しそうに話し出す。


「そうだった!」


中間テストというきつい試練の後には、楽しい修学旅行が待っていたのだ!
ずっと楽しみにしていたんだ!




旅行場所はベタに京都、大阪を巡る3泊4日のプランということだった。


出発は来週、まず大阪で食い倒れツアー、某有名巨大遊園地で遊んだ後、
京都でまったりと観光、座禅という予定だった。



正直場所はどうでもいい!

修学旅行は皆で夜騒いだり、お菓子食べたりするのが一番の楽しみなのだ。










「じゃあ旅行に向けて準備しなくちゃね!」


という話になり、放課後はツナ達と旅行の準備をするために買い物に出かけた。



…1人、なんか真っ黒い物騒な人がついてきてるけど。
気にしない。



「京子!あ、あっちのお店見に行こう!」


少し強引に京子の腕を引っ張る。
リボーンはツナ達と話していたのでできるだけそこには近づかないように、逃げるように近くのお店に入った。



昨日の事があった以降、なんだかリボーンをまともに見れないし、避けてしまう。

話そうとすると、なんだかそわそわしてしまって、今までのように悪態をついたりふざけたりと上手く話せないのだ。

自分だけ、あの事を意識してしまっているようで悔しい…。

はぁ……
本当に自分が嫌になる。














「おい、リボーン!ナギになんか嫌われるようなことしたのかよ。」

「…なんもしてねーぞ。」

「でも、明らかお前のこと避けてんじゃないかよ!」


ふん、知るか。とリボーンは表情を隠すかのように帽子を深く被り直す。



俺だって、やり過ぎたことはわかってる。
冗談とはいえ、教え子に手を出そうとする真似したんだからな。

だが、ここまで露骨に避けられるほど、嫌われるとは思っていなかった。


「このままでいいのかよ?俺たち修学旅行行っちゃうんだぞ?」


ちっ。
だからって、どうすりゃいいんだよ。

しかし、この状態のまましばらく会わなければ、もっとお互いの溝が深くなることはわかっている。



「…はぁ…。お前見てればさ、ナギが大事な存在だってのはわかるよ。
もっとさ…素直になった方がいいんじゃないの?」



そんなことダメツナに言われなくたってわかってんだ。

なのに…
思うように自分がコントロールできないことに苛立ちが募る。



今まで女には困ったことはないし、思うとおりにしてきた。

…だからこそ、こういう時にどうしたらいいかわかんねぇ。
さらに相手は父親直々に任せられている俺の生徒だ。



「ツナー!!ご飯食べに行こうー!!」


「今そっち行くよー!」



遠くからナギの声が聞こえる。
ツナに満面の笑顔を向けるナギを見て、俺はもう一度舌打ちをしてからツナ達の後を追った。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ