長編

□unusual days!
4ページ/12ページ




「この動詞が他動詞で、つまりこのwhat以降が名詞節になる。」

「…ハイ。」

「じゃ今度はこの問題を非制限用法を使って解いてみろ。」

「…ハイ。」

「答えはなんになる?」

「…ハイ。」


スパンッ


頭を分厚い教科書で容赦なく叩かれる。


「目ぇ覚ませ」

「ばりっばりに覚めてます。」

「じゃぁなんで解けねーんだ。」

「恐らく目が覚めてる覚めてないの問題ではないのだと思われます。」

「そうか、一発銃でぶち抜かれたいのか。」


カチャリと耳元で嫌な音がする。


「勘弁してください!本当にわかんないんです!」


なみだ目で訴えればようやく物騒な銃をしまってくれた。


「…はぁ…。
でもな、こんな基礎の問題ですらわからなかったら、お前本当に留年するぞ?」

「…わからなくなりたくてわからないんじゃないもん。私だってこんなとぅるっとぅるな皺のない脳みそに生まれて苦労してるんだもん。」

「それが教えてもらう態度か?」

「すみません!もう一度この馬鹿に説明してください!」

「肩揉み10分だぞ。」

「……ハイ。」


大嫌いな英語を中間試験のために仕方なく真面目に取り組む。
リボーンが、俺の教え子が留年とあっちゃ、俺の面子が立たない、とかなんとかそんな自己中な理由で最近は勉強時間が5割増しで増えた。
その分銃の練習時間が減ったのは良かったんだけども。








問題を解き終わり、リボーンが早くしろ、と目で訴えてくる。

そもそも生徒が先生に肩もみなんてするのだろうか……


リボーンがジャケットを脱ぎ、ネクタイをはずす。
肩もみをしようとリボーンに触れると、引き締まった筋肉の体躯が直に伝わってきて、少しドキドキする。


「リボーンってさ、意外にマッチョ?」

「まぁな。そこそこ鍛えてるしな。」


さらりと言ってのけるが、スラリとした長身なのに、筋肉はしっかりあるって相当男にとっては理想の体系なんじゃないだろうか、
と思う。
まぁ、それ相応の努力はしてるのかもしれないけど。


「あー。そこだな、そこ」

「ここ?」

「あぁ」


気持ち良さそうなリボーンを見てると、なんだか妙な色気を感じる。


いつもきっちりとスーツを着こなしているのに対して、こうしてネクタイもはずし、シャツのボタンもはずしたラフな姿のリボーンもまた様になっていて、何故かむかつく。
この男にダメな部分とかないのかな…


「もういいぞ。さんきゅ」

「…あ、うん。」


リボーンが離れていってしまうとなんだか寂しい。


「ねぇ、リボーン。体、触ってもいい?」

「な、なに言ってんだナギ……」


見るとリボーンがドン引きした顔をしていた。


「いや違くて!!なに誤解してるの!距離置くのやめて!
…だから!…その、筋肉、触ってみたいなー、なんて…」


自分で言ってみて、大胆なことを言ったなとは思う。
リボーンは少し驚いた顔をしたけど、勉強を頑張ってたご褒美にいいか、と言って許可してくれた。


「まさかお前が筋肉フェチだったなんてな。」


クククと馬鹿にしたように笑いながらこっちを見てくる。
なんで勝手に私がそんな趣味みたいになってるんだ。
反抗しようとすると、


「ほら、触りたいんだろ?」


と挑発的にニヤリと笑いながらリボーンが言ってくるので、もう勢いで近づき、大胆に思いっきり手を伸ばして触ろうとする。
と、



ぐいっ



「へっ?」



リボーンにいきなり引っ張られ、引き寄せられる。
そしてぐいっと顔を近づけさせられ、耳元で


「ナギって、意外と大胆なんだな。」


と囁かれる。


「…え?」



そういって、リボーンの視線の先を見てみると、



「きゃああああ!」


私の触ろうとした手の、反対の手が…
その、リボーンの内太腿の上の方…つまり、
股間すれすれの所にあったのだ。



リボーンはククククッと1人でずっと笑っていたが、
私は恥かしさで何故か慌てて部屋を飛び出して、その後3日間はまともにリボーンの顔を見れなかった。




……無自覚な行動って怖い。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ