長編

□unusual days!
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「今日も学校から帰ったら、ネッチョリお勉強だからな。」


「ネッチョリやだーーー!!」


珍しく朝から家にリボーンがいると思ったら、そんなこと言いに来たの!?
こういう日は大体ろくなことはない。


走って逃げるように学校に向かう。


「俺から逃げられると思ってんのか」


なんて声が後ろから聞こえたが、聞こえないふり。
逃げ足だけは、速くなったと思う…。









衝撃の事実を知らされてからかれこれ一週間。
リボーンとも打ち解け、なんとか今の現状を受け止めようと努力はしている。


が…


もう1つ知りたくなかった事実がある。

それはこの家庭教師が、悪魔の如くだったということ。

護身用だとかの銃の狙撃の練習や、今まで解いた事もないような難易度の高い勉強内容、私にとっては初めてのことばかりだというのに、本当に容赦ない。


「次に的はずしたら、+30回だからな。」


なんてさらっと言いやがるのだ。

文句や鬼、悪魔!といえばぶっ飛ばされるので口答えは厳禁だし、本当…
なんでこんなことになってしまったんだ!













「あ、ナギおはよう!」

「ツナ!おはようー」


朝から優しいツナの笑顔に癒される。


「10代目に気安く話しかけんじゃねー!」


隣でいつも忠犬みたいにくっついてる獄寺が、いつものように突っかかってくる。


「朝からにぎやかなのなー」


爽やか代表の山本くんもツナたちと一緒に歩いてきた。
この3人、ほんと仲良しだよな。


「さぁ10代目、今日もファミリーの行く末についてがっつり語りましょう!」

「今日も語らないってー!!」


いつものやり取りを微笑ましく見つめる。

…ん?

ファミリー?どっかで聞いた事ある気が…


「ねぇ、ツナ。ファミリーって、」



キーンコーンカーンコーーン



予鈴が遮るように鳴り響いた。

「あ、予鈴が鳴ってる!急がなきゃ!!
じゃぁね!ナギ!!」


違うクラスのツナ達は走って行ってしまった。
聞きそびれちゃったけど…
ファミリーってなんだっけ?

まぁ…いっか。


細かい事は気にしない!と私も教室に向かって駆け出した。













「もうすぐ中間テストだ!」


すっかり忘れてたー!と叫ぶと、


「でも、ナギは優秀な家庭教師さんが来るようになったんでしょ?」


にこにこしながら天使の笑顔で京子が話しかけてくる。
京子とは中学以来の親友で、この笑顔に何度も救われてきた。

なんでも話せる間柄だけど…
さすがに父親のことは話せなかった。


京子自身も、ツナ達となにかやっているようだけど、私には話したくないのか巻き込みたくないのか、隠しているので私も無理に詮索したりはしない。



「その優秀な家庭教師さんに任せれば、きっと赤点取ることはないよ!」

「まぁ…優秀っちゃ、優秀なんだけどね。」


ボリーン博士だかなんだか知らないが、一応すごいらしい。
勉強を教えてもらっていればわかる。
彼は一流だと。

…あの悪魔のような性格を除けば。


「…教え方に問題があるんだよね…。」


京子に気づかれないように、そっとため息をついた。















家に帰りたくなくて、放課後になっても教室でダラダラと過ごす。

といってもみんな試験勉強があるからとかでさっさと帰ってしまっていて、教室にはほとんど誰もいない。



「あれ?オリハラじゃねーか!」

「山本くん!」


帰ろうとしたところなのか、バッグを持った山本くんがいた。


「部活は?」

「試験一週間前だからないぜ!
たまたま通りかかったら、オリハラがいたからな。」


爽やかに笑う山本くんに救われる。


「…それより、最近疲れてるように見えるけど、大丈夫か?」

「あ、うーん。ちょっとね…」


家にいる家庭教師のせいでね…とは言えない。
それにしても、そんなに疲れてるのがわかるほどやつれた顔してるのか、私。


「何があったかしらねーけど、あんまり深く考えない方がいいぜ!
中間なんて、俺は赤点いつも引っかかってるからな」

ハハハッと山本くんが笑ったと同時に、


「お前は赤点取ったら許さねーぞ。」


この声はまさか……


後ろを振り返ると同時に、体が持ち上げられる。


「きゃぁあ」

「逃げようとしやがって。」


案の定私を持ち上げた主は怒り顔のリボーンだった。


「お、小僧!久しぶりじゃねーか!」

「久しぶりだな、山本。」


親しげに話し出す山本くんとリボーン。

2人知り合いだったの!?
てゆうかこんな明らか20代の人に向かって小僧ってなに!?


「ちょ、リボーンどういうこt「急いでるからじゃーな、山本。」


私が話してる途中だというのに私を抱えて歩きだすリボーン。


「あぁ、また今度なー!」

「ちょっと止まってリボーン!!おーい!!
無視すんなこの悪m「うるせぇ」


山本くんの声が聞こえる中、私はリボーンの上で暴れる。
が、私の言葉も無視して家へ向かって強制的に連れて行かれる。


こんの腐れ家庭教師め。


「なにか言ったか?」


にやりと真っ黒い笑みを向けられる。


「いえなんでもございませんん!!」

「ネッチョリ勉強だって言っただろ。」



あぁ…神様。
この地獄のような日々を一日でも早く終わらせてください……





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