長編
□unusual days!
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「お、終わったー…」
「お疲れさま!」
長い四日間の中間テストがようやく終わった。
京子が笑顔で栄養ドリンクを渡してくれる。
私が例の家庭教師のせいでここ数日あんまり寝ていないのを知ってるからだ。
「テストはどう?」
「うーん…まあまあ、かな…」
苦笑いを向ける。
今までの人生で一番できたとは思うけど…
リボーンの言葉が頭から離れない。
『平均点以下取ったら、どうなるかわかってんだろうな』
まっ黒ーい笑みで言われ、どうなるか聞く勇気も出ず無我夢中で試験勉強をしてきた。
恐らく…
平均点以下なんて取ったらリボーンの面目を潰してしまう。
ならばそれ相応のお仕置きが待っているに違いない。
「銃200発練習かなー…、それとも、
リボーンのエスプレッソ100杯かなー…」
なんにしてもいい予感はしない。
はぁ、とまた今日で何度目かわからないため息をつくしかできなかった。
「これから中間テストを返すぞー」
ゴクリ…
担任の声がしーんと静まった教室に響く。
皆いつもはふざけているが、テスト返しとなれば自分の進級が関わってくるので真剣だ。
「オリハラ−」
平均点いってますように、平均点いってますように!
「今回はよく頑張ったな!」
「ほんとですか!」
わくわくしながらテストを見る。
……と。
「全部平均点以上だ!!」
嬉しくてすぐさま休み時間にツナ達に自慢しにいく。
「見てー見てー!ツナ!!あたし全部平均点以上だったんだよ!ふふん。」
「んなーーー!?唯一ナギだけは俺と同レベルだと思ってたのに!!」
赤点俺だけかーとツナががっくしと肩を落とす。それを必死に獄寺くんが励ましている。
ぷぷぷ。
「でも、その家庭教師さんすごいね!その先生のおかげだね!」
とニコニコと笑いながら京子が言うと、
「家庭教師…?ナギって、家庭教師つけたの?」
とツナがなんだか興味深げに聞いてくる。
「う、うん…一応、ね…。」
「そっか…。家庭教師っていったら、嫌なこと思い出しちゃうよ」
とツナが獄寺くんたちと話している。
ツナも家庭教師つけてたんだ…。
私だけ知らなかった。なんだかおいてけぼりみたいで寂しい。
途端私の手元からテストのプリントがなくなる。
あれ…?
「まあまあだな。」
「そう?結構頑張ったでしょ!」
とクラスメートだと思い後ろ振り返ると、
「「リボーン!!」」
私とツナが同時に叫んだ。
「ちゃおっス、ツナ」
「お前、こんなところでなにしてんだよ!」
明らかそういうツナの顔が引き攣っている。
「お前は相変わらずダメダメだな。」
「リボーンさん!お久しぶりです!」
「リボーンくん!なんでここにいるの?」
獄寺くん、京子と続いてリボーンと話し出す。
ちょっと、なんで皆リボーンと知り合いなの!?
1人展開についていけない。
そんな私を察してか、
「言い忘れてたが、ツナは俺の元教え子なんだぞ。」
「うそーーーーーー!!」
なんでそんな重要なこと黙ってるんだこの家庭教師は!!
「ちなみに、ツナはクラムカンパニーと縁深いボンゴレファミリーの次期ボスだからな。」
「「んなーーーーーーーーー!?」」
私とツナが同時に悲鳴に近い声を出す。
「なにバラしてんだよ!」
「ナギがクラムカンパニーの次期社長だからだぞ。」
私とツナは驚きで口をパクパク動かす事しかできない。
この悪魔は…なんで大事なことはいつも言ってくれないんだ…
でも…なんだかボンゴレファミリーとやらが怖かった私は、
ボスがツナだと聞いてどこかほっとしていた。
同士をみつけた気分だ。
「…でも…ツナでよかった!」
そういってツナに抱きつく。
こんな優しそうな人がボスなら、きっとボンゴレファミリーも怖くないに違いない!
「えぇ!?ちょ、ナギ!!」
何故か真っ赤になってツナが慌てている。
「俺の生徒から離れやがれ。」
するとリボーンがいつもの銃をツナに当てる。
「リボーン!待てって!」
私はツナたちがボンゴレファミリーだって知って、すっかり安心しきっていた。
これから巻き込まれる世界、
そしてクラムカンパニーがどんな会社かなんて…
その当時は少なくとも、これっぽっちも不安になんて思っていなかったんだ。