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□伝えたい、この気持ち
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朝の光が眩しく、海南大附属高校の体育館に照りつけた。



ランニングをしていると、グラウンドで朝練をするかすかな声だけが聞こえる。





今日は珍しく朝練がない。




何故俺がいるかというと、一言で自主練。



これが俺の日課だし。




いつも通り家を出て、今にいたる。




「ふぅ…」



さすがに疲れがきたか…?






初めは自主練してる部員、多かったんだけど…いつの間にか減ったんだぁ。



俺は、結構自主練楽しいと思うんだけど…





上手くなりたくて
負けたくなくて
誰かに追いつきたくて
役に立ちたくて


海南の名を語れることを誇りを持っている。



だから毎朝早く来て
シュートやランニングをして…



気づかれなくていい。

こっそり練習して、
上手くなって、驚かせたり…


まあ、そんな理由だった。





しかし、
俺にも不純な理由が出来てしまいました。









「おはよ、日向ちゃん」





「えっ…じ、神先輩っ!?」




理由の張本人発見。



彼女は陰野日向。


俺の…好きな人。


頑張り屋さんで
ちょっとドジで
可愛くて可愛くて……



「おっ、おはようございます…」




慌てたように言う君が可愛くて優しく頭を撫でる。




「いつも早いね。」





日向ちゃんの綺麗な髪をかき混ぜる。



ドキドキしてしまう。


大好きな香りがした。




「せ、先輩は…朝練ないのにどうしたんですか?」





「早朝トレーニングってとこかな」





汗が流れてきたから首にかかっていたタオルで顔を拭う。





「日向ちゃんは日課のボール磨き?」



「えっ…?し、知ってたんですか…?」




驚いたように目を丸くする日向ちゃん。



知ってるに決まってる。


毎朝、一生懸命に頑張っている君を見ているのだから。




「もちろん。こんなに綺麗なんだから気づかないほうがおかしいよ」





日向ちゃんは嬉しそうにはにかんだ。


「…皆さんが少しでも気持ち良くできればと思いまして…」





なんて可愛いこと言って。







俺は朝練するのに他の理由があったりする。




日向ちゃんと会える。



なんて考えたり。




俺、不純だ…




日向ちゃんをじっと見てしまう。



すると日向ちゃんはあわあわとしながら


「あ、あのっ…迷惑ならすみません!!」


と焦って言った。



迷惑なんてあるわけないよ。


こんなに頑張ってくれる子は他にいない。




「あははっ、迷惑なんて思うわけないよ。ただ、毎日大変なのに偉いなって」




そう言ってまた、日向ちゃんの頭を撫でた。



「た、大変だなんてそんな…楽しいですし、皆さんの方がよっぽど大変ですよ…」




日向ちゃんの言葉に少しびっくりした。


楽しい、なんて。

こんなに大変な仕事なのに。


下手したら俺達より大変だよ。


あぁ、何て可愛くて、いい子なんだろう。



胸がドキドキと鳴った。

自然と笑みがこぼれる。




「俺も手伝うよ」

「えっ…!!で、も…」




小さな日向ちゃんの手から素早くボールを奪った。



「あっ…せ、んぱい!!」



日向ちゃんがボールを取ろうと手をのばしたが



「だめ、手伝わせて」

とおでこを抑える。



俺が笑うと日向ちゃんはボールを取らなくなった。





「…疲れてるのにすみません」



「日向ちゃんとなら疲れなんて飛んじゃうよ」





さらりと爆弾発言しちゃった。



日向ちゃんは林檎みたいに真っ赤になっていた。





「あ、真っ赤だ」




ふふ、可愛い




あまりに可愛いくて
つい頬を触れてしまった。




すると余計赤くなってしまった。



そんな顔を見て、俺の顔は君より真っ赤になってしまった。





あー…


このままずっといたい。











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