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□涙はダイヤモンド
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わたしは声をかけられなかった
先輩は誰にもバレないように息を殺し、泣いていた。
わたしその場を去ろうとした、が
藤「…日向ちゃん?」
と声をかけられてしまった。
藤真先輩はいつもの笑顔でわたしを見た。
藤「…ごめんね?試合、負けちゃった」
あはは、と笑う先輩の顔はわたしには泣いているように見える。
「せ、んぱい…」
藤「あ、花形達の所戻ろっ?」
スッと立ち上がる藤真先輩。
だめ
そんな辛そうな顔で戻っちゃだめ
藤「…日向ちゃん?」
わたしはキュッと藤真先輩の手を握っていた。
行っちゃだめだ、と言う思いがわたしの体を動かした。
だってほら…
藤真先輩の手は
弱々しいくらい
小さく小さく震えてるのだから
―――――――――――…
「試合、勝ったらキスしてね?」
…―――――――――――
この言葉が頭に浮かぶ。
藤「日向ちゃ…」
ちゅっ
藤真先輩が何か言う前にわたしは口を塞いだ。
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