先生♂×生徒♀
□伝わって 友憲side
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私は、彼女の数学の担当教師。
初めて授業をしたときはなんとも思わなかった。
だが、あの日を境に私の彼女に対する気持ちは変わった。
「先生!この数列って、どうやったら一般化できますか?」
一見数学など興味のなさそうな女子生徒が私の元にノートを持って来た。
そのノートを見るといかにも女の子らしい字で数字が書かれていた。
“1,8,27,64,125,216,…”
「立方数、ですか」
なぜこんな数列を考えているのか全くわからない。
一般化ってn^3で終わりじゃないか。
「あの、n^3になることは分かったんですけど、その、なんとなくというか…」
彼女はそう言った。
「“シグマ”を使うといいよ。和を表すときに使う記号なんですが…知ってますか?」
彼女は少し首を傾げて
「記号だけ…なら」
と言って黒板に“煤hと書いた。
「そうですか。…説明しようか?聞きます?」
なんとなく彼女に教えたくなったのだ。
思いつきの私の提案は、
「はいっ!!」
という彼女の返事と笑顔によって受け入れられた。
聞くところによると、彼女は数学が好きらしい。
女子で数学好き、か…。
珍しいな、と思った。
授業中に注意して見ると、彼女はいつも真剣な目で見ながら話を聞いている。
その一生懸命さが愛しく感じられた。