先生♂×生徒♀
□伝わって 奈菜子side
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大好きな坂下先生の数学の授業。
先生の言葉は一字一句聞き逃さない。
たとえ雑談だって、必ずノートにメモを取る。
「ここはピタゴラスの定理を用いて、辺ABの長さを出します。…柚木さん、解いてください」
「はいっ!」
先生に指名されて嬉しかった私は、喜んで前に出た。
「はい、正解です。柚木さんには易しすぎたかな」
先生は私が数学が好きだってことを知っている。
―キーンコーンカーンコーン…
「はい、じゃあ続きは明日」
先生はそう言うと早足に教室を出て行く。
私はいつもその背中を目で追っている。