小説

□お酒の力
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「次はハクか・・・」

いまだに寝ているハクを見てため息。
正直、酔っ払いを起こすのはめんどくさい。
けれど、このままハクをほっておく訳にもいかない。

(さて、どうするかだが・・・)

考えながらタバコをくわえる。
すると、今まで寝ていたハクがゴソゴソと動き出した。

「あっ・・・。デ・・・ル?・・・お帰りなさい」
「ん?ああ、ただいま」

見たところ、優真ほど酔っている様子は無い。
だが、まだ酔っているらしく、顔が赤い。
悪いと思いつつ、どうしてこうなったかを聞いてみる。
すると、案外にもハクはちゃんと答えてくれた。

「・・・なるほどな。
仕事で子供だと部下にからかわれたマスターが、
泣きながらヤケ酒を始めて、ハクもつき合わされたと」
「はい・・・。そうです」
「それで、部屋がこんなに荒れてるのか」

ったく、そんなことでヤケ酒するなよな・・・。
そう呟きながら、デルはソファーに座る。
ハクも、デルの隣に座りなおす。

「・・・」
「ハク?」

眠たいのか、ハクの目はどことなくうつろだ。

「寝たらどうだ。眠たいんだろ?」

そういうと、ハクは横に首を振る。
そんなやり取りを何度か繰り返した。

「・・・お前も意外に往生際が悪いな」

そろそろ言うことを聞いてほしいんだがな。
と、ため息をしながら思う。

「・・・・・・・・・・・・じゃ・・・あ」

すると、ハクが何かを呟く。
しかし、声が小さくちゃんとは聞き取れなかった。
デルは、ハクが何を言ったのか再度聞く。
すると、ハクは顔をうつむかせながら、今度ははっきりと言った。

「・・・じゃ、じゃあ。
デルの言うことを聞きますから、私のお願い聞いてくれますか・・・?」
「酒をもう一瓶追加とかじゃなければ聞いてやる」

その前に水でも飲むか?と立ち上がる。が、
ハクに袖を握られ、立ち上がることができなかった。

疑問に思い、ハクの方を見るが、
思った以上にお互いの顔が近くて、すぐに顔を元の位置に戻した。
顔が熱くなったのがわかった。

「・・・で、“お願い”って何だ」

自分が動揺しているのをごまかすつもりで言った。
だが、次のハクの一言でさらに体温が上がることになった。
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