小説
□*お前との別れ・再会・そして別れ*
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「−!!手を離して!!」
「駄目だっ!!」
ある嵐の夜、悲鳴に近い会話が響く。
「お願いだからっ・・・。このままじゃ、あなたまで巻き込んじゃう!」
「俺は大丈夫だ!!信じろ!!」
そうだ。離すわけにはいかない。
お前を失う訳にはいかない。
はっきり言って、腕の感覚なんて無いに等しい。
けれど、離してはいけない、そんな誓いに似た想いが強くなる。
「・・・!手から血が出てるっ!大丈夫!?」
どうして俺の心配をするのか。
今一番危険なのはお前だろ?
けれど、そんなお前の気持ちが嬉しかった。
「大丈夫だ、気にするな」
そういえば、お前は悲しそうな顔をする。
「どう・・・したんだ?」
どうやら、体力も無くなってきているらしい。
声がかすれてしまった。
すると、お前はビクッと俺の顔を見上げ、さらに悲しそうな顔をした。
俺は心配になって、もう一度声をかけようとした。
だが、お前はいつの間にか手にしていた木の枝を
俺の手に真っ直ぐ向けていった。
「私なら・・・、大丈夫、心配しないで。怖くないから。
でもね、私は何よりも、私の目の前から
あなたが消えるのがとても怖い」
「ーッ!やめろ!!そんなことしたらお前はっ!!」
お前は、悲しげに俺を見て、さらに言う。
「だから、あなたを巻き込みたくない。
・・・・・・少し痛いと思うけど、ガマンしてね?」
「−っ!!」