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□ 翔ちゃん、あのね…。
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出掛け先の用事も終わり
寮にへと戻って来た翔。


「ん?何だ来栖か……こんな処で逢うとは奇遇だな」


丁度、自分の部屋に戻ろうとしていた時に
背後から声を掛けて来たのは、クラスが違うから最近あまり逢っていなかった真斗だった。

「あれ?真斗じゃん…こんなとこで何やってんだよ?」


首を傾げながら問うと
真斗には、あまり似合わない物が手に握られていることに気付き

「うっわぁー…何それ?真斗って、そんなのが好きなのか?」
「………………」

指をさしながら指摘すると
返事は返って来ないが
その変わり顔に赤みが増していき─…

「こ……これは四ノ宮にだな………っ」

“四ノ宮”と耳にした瞬間
全てのことを理解した。


(まったく…那月のヤロー……)

心の中で溜め息を吐きながら

「なるほどな……真斗も那月の占いに振り回されたってことか…」

ズバリと言い当てると
素直に真斗は頷き

「だが、四ノ宮が俺の為を思ってくれているのは分かるからな……さすがに無下には出来ないだろう?」

それは同感だと
少し困った様な表情を浮かべていると

「しかし……さすがにこれは……渡されてしまったが…持ち歩くにしては少々…可愛すぎないだろか…?」
「まぁ、真斗のキャラには合ってねーよな。ラッキーアイテムか?」
「……あぁ、“赤いリボンを付けたクマ”と言うのが俺のラッキーアイテムらしい……」

真斗が先程から手にしていたのは赤いリボンを首に巻いた白いクマの小さな人形。
同室の翔は
そう言えば何度か目にしたことがあった気が──とそのクマの人形の存在を思い出すが、まさか真斗にまで占いのことを押し付けていたとは────…
困った同室人に呆れるしか出来ないが本人はそれで満足しているみたいだし
大目に見ようとしていたのだが────…
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