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□ 知らぬ嫉妬に恋心─…。
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その頃のAクラスでは──…
「………うー…やっちゃった…」
机に突っ伏して弱音を吐く音也──…
「何をやっちゃったんですか?」
その横に腰を落とし顔と手を机の上に乗せ問い掛ける那月が首を傾げ
「……実はさ、八つ当たりしちゃって…」
「八つ当たりですか?」
その言葉に静かに頷き
「情けなさすぎるよなー…」
自分の態度に後悔の色を見せるがどうしようもない─…
そして項垂れていると
「一十木が八つ当たりとは珍しいな…で、誰に八つ当たりをしたんだ?」
真斗が話し掛けながら歩み寄って来た。
「…………マサぁ」
甘えた声を出して真斗に泣き付くが、子供をあやすかの様に頭を優しく、軽く叩かれ
「…トキヤが他の奴と楽しそうに話してるのを見て何かモヤモヤしちゃってさ……さっき、たまたま階段で逢ったんだけど嫌な態度取っちゃって………」
嫌われたかな──…?と
今にも消え入りそうな声で呟き激しく落ち込む音也に
「大丈夫ですよぉ、トキヤくんが音也くんを嫌う訳ありませんし」
「あぁ…嫌ってはいないだろが、少なからず誤解はしているかも知れんが…」
二人なりの気の利いた言葉を掛け励ますと
どん底にいた音也が徐々に浮上してくるのが分かる。
単純だとは思うが
そこが音也のいい所でもあった。
自分が生んだ誤解なら頑張って解くと二人に笑顔で宣言し、何とか自信を取り戻して、その後は終始ご機嫌だった…………のだが…。
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