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□ 知らぬ嫉妬に恋心─…。
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音也のあの態度の理由が分からないまま
自分の教室にへと戻って来たトキヤは席に着いて軽く溜め息を溢した─…
そんな様子を見ていた翔がトキヤに近付き前の席の机の上に腰掛けて聞く
「なーに小難しい顔してんだよ?何かあったのか?」
だが、チラリと一回だけ翔に視線を向けるとすぐに、そっぽを向き
「貴方には関係のないことです」
しれっとした態度で言葉を返した──。
「おやおや、関係無いだなんて随分寂しい言い種だね?おチビチャンが心配してくれてるんだ?何かあるなら相談してみてもいいんじゃないかな?イッチー?」
「ですから気安くイッチーなどと───…はぁ……貴方達に言っても仕方ありませんが……音也のことです」
横から入ってきたレンの言葉に素直に口を漏らすと翔とレンは顔を見合せ
「音也?音也と何かあったのか?」
「これは意外だねー…まさかイッチーを悩ませる人物があのイッキだったとは…で、どうしたのさ?」
真剣に話しを聞こうとする翔に対し
若干面白がっているレン……。
その時、既に
間違っても口を漏らすんじゃなかったと後悔したが
もう遅い話………。
取り敢えず気に掛かることを大人しく素直に全部吐き出した……。
「───と言う訳でして…」
「……なるほどね…。つまりイッチーがイッキに何かをしたと…」
「ですから、心当たりがないと言ってるでしょ?」
ふざけて返すレンに苛立ちが隠せず、つい辛口で言葉を吐いてしまうトキヤだが
「………俺、何となく音也の気持ち分かるなー…」
ボソッと小さく呟いた翔の言葉を聞き逃すことなく
「何が分かると言うのです?」
「……や………だから…その…」
透かさず聞き返すが口篭ってしまう翔───…
「…………もう結構です、貴方方に頼ろうとした私が間違いでした、忘れてください…」
そう言い残し教室から出て行く──…
残されたレンと翔だが
レンはクスクスと笑い
「おチビチャンがあそこで言わないからイッチーが拗ねちゃったじゃないか…」
「な……っ、俺のせいかよ?て…てか、あんなこと俺様が言えるか………っ」
真っ赤になりならがレンからも顔を背け、もごもごとしゃべる。
ただの子供染みた嫉妬のせいで、おかしいだなんて知ったら───…相手はどんな反応をするのだろうか…
「それにしても…おチビチャンでも嫉妬するんだ?」
「……な…何だよ……何か問題でもあんのか?」
「いや?…愛されてるんだね…シノミーも」
「………………………」
レンの言葉に耳まで赤くなり居たたまれなくなってしまう。
穴があったら入りたい─…そんなことを口にしないまま必死に願っていた──…。