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□ 夢から覚めても…
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『大型の台風が只今接近しており、各地で大雨となっとおりま────プツン』
天気が荒れているのが
台風のせいだと、どうやら知らなかったようで───
「てるてる坊主でも作ってみたらどうです?」
「てか、トキヤ絶対に知ってただろ!」
「何のことですか?私には皆目見当がつきませんが…」
「なら、何で笑ってるんだよ!!」
普段は煩い迷惑な同居人も…
弄りがいがあると、いい暇潰…いや
心が和むものなのだと気付き…
「台風では仕方ありませんね。今日も部屋で大人しくしていたらどうですか?」
笑いを堪えながら
相手が言われて拗ねる言葉をわざと掛ける
「うぅー…………」
たかが、二人で出掛ける約束をしていただけのことなのだが…
仕事が忙しい私と音也では
中々時間も合わず
二人で出掛けることを
音也が楽しみにしていた気持ちも少なからず分からなくはない。
それでも───
「出掛けるのは、いつでもやろうと思えば出来ますよ。今日は特別に貴方の暇潰しにも付き合ってさしあげますから、いい加減機嫌を直しなさい。」
「………………トキヤ…うん、有難うな!」
満面の笑みで笑い掛けてくる音也に少し心を痛めた───
雨が降ればいいのに──
そう願っていたから…。
夢から覚めても
君と居る時間の続きを願って────
「なら何して遊ぼっか?」
今はその笑顔さえも
独り占めがしたくて───
「そうですね………」
逢えない時間を分かち合い───
共感し合えたなら……
貴方は私を失くして
生きられなくなったなら…
何て──────
「なら、てるてる坊主でも作りますか?」
ただの子供遊び──。
「うん!あーした天気になぁーれ♪ってね」
だから………
明日も天気は荒れたままなんですって。
何て言ったら
きっと、また落ち込むのだろう───
本当に……
バカな人だ…。
・fin・