km*bk
□ 春の匂い。
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「わぁ、春ちゃんいい匂いする!」
昼休み──…。
いつものメンバーで屋上に集まっている。
「え、そ…そうですか?」
「オレも嗅ぎたい!」
「うん。本当にいい匂いだから、ゆっきーも嗅いで嗅いで!」
春を餌にして
騒ぐ千鶴に、それに便乗する祐希。
その少し離れた場所では静かに弁当を食べ続ける要に、オモチャにされている春達を暖かい眼差しで見守る悠太。
サァっと風が流れて行く──…。
「……ちょっとちょっと、千鶴さんと祐希くん。春お母さんが困るから、ほどほどにしときなよ?」
されるがままの春に助け船を出すと、ふと目が合う。
季節は春─────…。
ヒラヒラと桜が舞う。
目が合ったのは一瞬で
すぐに春は目を逸らした。
(あ────…)
ヒラリと舞って来た花弁が一枚……
春の頭の上にへと辿り着き───
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