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「あーあぁ……雨の日は暇だなー…」
窓に降りかかり伝うように流れる雫をジッと見つめながら溜め息混じりにレンが呟くとベッドの上に座りながら本を読んでいたリンがパタンと音を立ててそれを閉じ
「よし!ならカイト兄達に言って、どこか連れて行ってもらおうよ♪」
「はぁ?」
リンの突然の訳の分からない言葉に眉間に皺を寄せて凝視したが、本人は満面の笑みを浮かべたまま
機嫌よさそうに鼻唄までもを奏でていた。
─────
「んー……どこか連れて行ってあげたいのは山々だけど、雨だからねー…」
「えー、ダメなのぉ?」
(………ほらみろ…ダメに決まってるじゃん…)
結局、強行突破を仕掛けたリンの言葉はあっさりとカイトに拒否されてしまっていた。
聞き分けのないリンにカイトは苦笑を浮かべながら優しく断るも納得のいかないリンは頬を膨らませ駄々をこねるばかり。
「おい、リン。我儘ばっか言うなって…」
「だってぇ……レンだって暇って言ってたじゃんか!」
「な…………っ、それは…………!」
「レン君も暇なんだ?確かに雨の日ってすることなくなるから暇になるよねー?」
相変わらず苦笑を浮かべたままのカイトに気まずそうにレンが視線を逸らし
「……………雨の日なんだから仕方ないじゃん。それに……俺、別にどっか行きたいなんか思ってないし」
視線は逸らしたまま、いつものように悪態をついて言うと、その言葉を聞いてリンのかなり不機嫌な顔が、すぐ目の前にあり
「うわぁ?!何だよ!」
「レンのバカバカバカバカバカ!」
驚きで目を丸くするとポカポカと肩を何度も叩かれ、それが地味に痛い……。