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□ アイツとオレとの間─。
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アイツとの距離は近くて遠い────…。
掴めそうで掴めない。
そんな気持ちをもどかしいと言わずして何と言うのか…?
「神宮寺……貴様またナンパなどをしていたらしいな?」
「……」
おやおや…そんな情報を一体どこから持ってくるのやら…
「…少しお茶に誘っただけさ…で?それが何だい?」
嘘は言ってない。
本当に暇で暇で暇で仕方なかった時に
同じく暇そうにしていた素敵なレディを見掛けたから声を掛けて誘っただけだ。
ただ、それだけ……
「……貴様がどこで誰と居ようが俺には関係ないが、少しは周りの目を気にして行動したらどうだ?」
あぁ、始まった……
この言葉に言い訳の言葉を返せば
いつものように売り言葉に買い言葉しか出てこなくなるのは分かっている…。
少し軽く深呼吸をし
「そうだね……お前の言うように、もう少し周りを気にするようにしてみるよ。ご忠告どうも」
さらっと笑顔でそう返すと
素直にオレが真斗の言葉を受け入れたのが珍しかったのか…
それとも、やはりいつもの様に嫌味に聞こえてしまったのかは
真斗自身にしか分からないことだけど、アイツの顔は眉間に皺を寄せた小難しい表情を浮かべていた。
オレが何かを言ったところで、全ての言葉が嫌味に聞こえてしまうのだとしたら
一体どうすればいいんだろうね?
正直、めんどくさい───。
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