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□ 迷い猫に踊らされて─。
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「一十木!そっちへ行ったぞ」
「了解!那月ー、そっちから回り込んで!」
「分かりました」


平日の午後──…
Aクラスの教室がある廊下では何やらガヤガヤと賑わっていた………。


「ちょっと、ごめん!そこ通して!」


廊下は走るものでは無いと分かってはいるが
うかうかと歩いている訳にも行かない──…


「……あれ?どこ行った?!」

標的を見失い辺りをキョロキョロと見渡していると

「一十木、上だっ!」


真斗の言葉に素早く反応し上を向くが時既に遅し…

「音也くん、退いてくださ────…っ」
「え?わぁあぁっ?!!」


ドターンと派手な音を鳴らし
上にいた標的を捕まえようとしていた那月とぶつかり合い転倒してしまったのだった───…。


「おい、大丈夫か?」

直ぐ様、真斗が駆けよって来るが、どうやら狙っていたものには逃げられてしまったらしい──…。


「……ごめん、マサ…。那月も大丈夫?」
「えぇ……何とか…にしても、足の早いねこチャンですね……」
「……仕方なかろう…しかし、逃げられたとあっては少々厄介だな…」
「あー………リンちゃんにバレたら絶対、怒られるよー!」


そんなことを口々に漏らしていると…

「ちょっとちょっと、大きな音が聞こえてきたんだけど大丈夫?」


お呼びでない当の本人が足早に近付いて来る─…

「………これは腹を決めるしかなさそうだな…」



真斗が呟いた言葉に
その場に居た全員が血の気が引いていくのを感じた──…。



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